VRで「空間」ではなく「キャラ」を楽しませる時代に

 そんな中、新しい未来を見ることもできた。代表的なものを2つ紹介しよう。

 1つは「VR/ARコーナー」だ。18年まではテクノロジーを前面に押し出し、VR(仮想現実)ならではの仮想空間を体験させる展示が多かったが、19年から様相が変わった。アニメの中にそのまま入り込むなど、魅力的なキャラクターと同じ空間にいることを楽しむ方向性のタイトルが飛躍的に増えたのだ。キャラクタービジネスに強い日本ならではのVRコンテンツが、ついに形になって現れてきたようだ。

 それに伴い、18年まで存在した「ロマンスゲームコーナー」(女性向けゲームコーナー)は消滅。それらはVRコーナーに吸収された格好となった。イケメンなキャラと同じ空間にいるゲームなどが代表例で、多くの女性ユーザーを引き付けていた。

 19年現在、米国では学園生活(における恋愛模様)を追体験する女性向けスマホアプリが飛躍的に人気を伸ばしており、4~5年前の日本の女性向けゲームと同じムーブメントが起きているのだが、日本の女性向けゲームはさらに一歩進んで次の次元へと突入したようだ。女性ユーザー向けのゲーム市場では、今なお日本が数年のアドバンテージを持っていることを、改めて証明した。この先、どんな進化を遂げるか注目したい。

VRには大きな変化が見られた。キャラの魅力を前面に出す方向性のコンテンツが飛躍的に増えていた。写真はIVRの『VRカレシ』
VRには大きな変化が見られた。キャラの魅力を前面に出す方向性のコンテンツが飛躍的に増えていた。写真はIVRの『VRカレシ』
「ロマンスゲームコーナー」は消滅したが、女性向けゲームはむしろ当たり前のように各社のブース内に溶け込んだとも言える
「ロマンスゲームコーナー」は消滅したが、女性向けゲームはむしろ当たり前のように各社のブース内に溶け込んだとも言える

ファミリーゲームコーナーに出現した新しい文化

 もう1つの未来は、「ファミリゲームパーク」にあった。

 メインホール内のブースは、人気芸人、声優、アイドル、コンパニオンなどで集客するスタイルで、ここ数年、全く変化していないが、中学生以下(およびその保護者)だけが入れるファミリゲームパークは、まるで様子が違っていた。特設ステージに立ち、子どもたちの声援を集めていたのは若いYouTuberたちだった。まるで違う文化が、そこには存在していた。

 とりわけ印象的だったのは、「YouTuberとゲーム実況体験」というプログラムだ。子どもたちがゲームで対戦し、その様子を他の子どもがYouTuberと一緒に実況するというもの。そこではゲームプレーを望む子どもよりも、YouTuberの隣でゲーム実況をする役を望む子どものほうがはるかに多かった。彼らにとって、ゲームをプレーすることよりも、それを実況することのほうが、はるかに楽しいエンターテインメントであるようだ。

 数年後、この世代が大きくなったとき、ゲーム産業には大きな変化が訪れるのかもしれない。「自分でプレーして楽しむ」だけでは満足してくれない世代の台頭が、未来のゲームを変えていく可能性があるだろう。今後とも継続的に注目していきたいポイントである。

中学生以下と保護者のみ入場できるファミリーゲームパーク。今年も家族連れでにぎわっていた
中学生以下と保護者のみ入場できるファミリーゲームパーク。今年も家族連れでにぎわっていた
「日本ゲーム大賞U18部門」の試遊コーナー。18歳以下のクリエイターが作ったゲームを人気YouTuberが紹介するステージだ。子どもたちが夢中になっていた
「日本ゲーム大賞U18部門」の試遊コーナー。18歳以下のクリエイターが作ったゲームを人気YouTuberが紹介するステージだ。子どもたちが夢中になっていた
YouTuberと一緒にゲーム実況を体験できるコーナー。プレーよりも実況を希望する子どものほうが多かった
YouTuberと一緒にゲーム実況を体験できるコーナー。プレーよりも実況を希望する子どものほうが多かった