将来は宿泊客の好みの環境を再現
もう一つの自社開発サービス「innto」は、1ベッドの月額利用料199円という低コストの宿泊管理システム。予約や販売価格、残室数、料金などの情報を一元管理できるもので、チェックイン、チェックアウト、精算などのフロント業務を支え、予約管理もできる。「18年6月に旅館業法が改正され、条件付きではあるがフロントの無人化が可能になった。省人化に対応したサービス」と梅本氏。
ターゲットは最近増えている小規模な簡易宿泊所だ。18年3月に発売し、導入施設は19年5月末時点で204施設まで拡大。クラウド型で使いやすく、ホステルや宿泊特化型ビジネスホテルに向いているという。
将来的にはこれらのサービスを連携させ、IoTデバイスから得られたビッグデータを活用したビジネスを構想する。例えば、宿泊者の宿泊履歴から好みの室温や明るさなどを把握しておけば、その客が次回利用した際にリラックスできる空間を事前に用意できる。tabiiで提供するコンテンツや広告も、宿泊客の属性に基づいて最適化が可能だ。
もっとも日本では、IoTデバイスが一般に普及するまであと数年は待たねばならないだろう。デバイスの普及促進と技術革新を後押しする取り組みは、アンドホステルの本来の目的の一つ。「デバイスメーカーと協業し、実際に利用したデータやヒアリングした声をフィードバックし、ものの改善につなげていくための場でもある」(梅本氏)
同社は今後、住宅分野への参入も狙っているそうで、IoTホステルでの滞在経験が日常になる日はそう遠くないかもしれない。
(写真/橋長 初代)