2019年6月から8月にかけて、タピオカミルクティーの新店舗が連日のようにオープンした。なぜ、これほどの勢いで出店が続くのか。「台湾茶ブームはそろそろ終わる」という声もあるが、中国ではチーズティーがブームになっており、すでに日本に上陸しているブランドもある。

2019年6月から8月にかけては、タピオカミルクティーの新店舗が続々とオープン。“インスタ映え”を狙って、若者たちがあちこちに行列をつくった
2019年6月から8月にかけては、タピオカミルクティーの新店舗が続々とオープン。“インスタ映え”を狙って、若者たちがあちこちに行列をつくった

台湾茶ブランドの日本進出は今後も続く

 「台湾茶ブランドの日本上陸はまだまだ止まらない」と言うのは、富錦樹(フージンツリー)グループの創立者・呉羽傑(ジェイ・ウー)氏。呉氏は台北市の人気レストラン「富錦樹台菜香檳(フーチンシュータイツァイシャンピン)」などを手掛けた人物で、2019年9月27日には東京・日本橋の複合商業施設「COREDO室町テラス」の2階に日本第1号店がオープンする。

 「タピオカ入りの台湾茶は、1980年代に台南市から広まったんですが、当時の店が今も残っている。現在、台湾全体では100ブランド前後があり、新しいブランドも登場しています。それでも、潰れたという話は聞かない。今のところ日本に上陸しているのは大手ばかりなので、今後は中小ブランドも日本に進出してくると思っています」(呉氏)

 供給過多とも思えるが、各ブランドが潰れない理由について「それぞれが差異化されていて、おいしいから」と説明する。「競争が激しいので、いろいろなニーズに応えるべく甘さや氷の量などを細かくカスタマイズできるように進化したんです」と呉氏は言う。

呉氏は16年にブームとなった台湾発のかき氷専門店「アイスモンスター」の日本進出のきっかけをつくった人物でもある
呉氏は16年にブームとなった台湾発のかき氷専門店「アイスモンスター」の日本進出のきっかけをつくった人物でもある
台北市にある富錦樹台菜香檳の店内。“洗練された台湾料理をシャンパンと共に楽しめる店”として14年にオープンした
台北市にある富錦樹台菜香檳の店内。“洗練された台湾料理をシャンパンと共に楽しめる店”として14年にオープンした

 呉氏によれば、タピオカミルクティーがブームになったのは「インスタグラム」をはじめとするSNSの影響が大きいとのことだ。また、スタンド式ということも、出店のハードルを下げていると呉氏。「台湾では、タピオカミルクティーを受け取ると、客はその場で飲み始めてしまう。だから座席のないスタンド式がほとんど。スタンド式は椅子が不要で出店コストが安く済むため、個人でも起業しやすいんです」

 すでに日本で店舗展開している台湾ブランドとしては、オアシスティーラウンジが運営する「TP TEA(ティピーティー)」やゴンチャジャパンの「貢茶(Gong cha、ゴンチャ)」、ポトマックの「鹿角巷(THE ALLEY、ジ アレイ)」などが、この6月から8月にかけて全国各地でティースタンドを出店。宏勝商事の新興ブランド「珍煮丹(JENJUDAN、ジェンジュダン)」なども同時期に日本上陸を果たしている。

 さらに19年秋にはMILKSHOP JAPANが「迷客夏(Milksha、ミルクシャ)」の日本第1号店を東京・青山にオープンする。同ブランドは台湾で218店舗、中国、香港、シンガポールを含めると計250店舗(19年8月現在)を展開している人気店だ。

東京・渋谷にある珍煮丹は、独自の工場で精製した黒糖を使った「黒糖タピオカミルク」が人気メニューとなっている
東京・渋谷にある珍煮丹は、独自の工場で精製した黒糖を使った「黒糖タピオカミルク」が人気メニューとなっている

食べ歩きの人気がティースタンドの進出を促進

 日本でも食べ歩きを楽しむ人が増えたことが、ティースタンドが日本に進出する要因になったと呉氏は言う。

 「日本に留学していた04年当時は、歩きながらドリンクを飲んでいると『行儀が悪い』と言われました。でも台湾では別に悪いことではない。私たちの言葉で“自在”と言うのですが、年間100万人以上の日本人が台湾を訪れるようになったことや、食べ歩きをしている外国人の写真をSNSで目にする機会が増えたことで、台湾の開放的で自由なスタイルを日本人も楽しむようになったのでしょう」

 食べ歩きについては、ごみのポイ捨てなどを問題視する声もあるが、若者に人気のスポット「渋谷109」の調査によれば、20歳前後の若者は「食べ歩き」を支持しているという。

 実際、渋谷109はその調査結果を受けて、地下2階に「食べ歩き」をテーマに掲げた食のフロア「MOG MOG STAND(モグモグスタンド)」を19年6月末にオープンした。もちろん同フロアには、プレディクトが関東を中心に店舗展開している台湾発のスペシャルティードリンク専門店「Chatime(チャタイム)」もある。

モグモグスタンドでは店舗ごとにフォトスポットを用意。こちらはChatimeのフォトスポット2つのうちの1つで、だまし絵のような構図になっている
モグモグスタンドでは店舗ごとにフォトスポットを用意。こちらはChatimeのフォトスポット2つのうちの1つで、だまし絵のような構図になっている

中国でブームのチーズティーが日本でも注目される

 タピオカミルクティーに続いては、チーズティーがブームになる可能性があると呉氏。「チーズティーも台南発祥ですが、『喜茶(HEY TEA、シィーチャ)』という台湾のコンセプトを受け継いだ中国のブランドが急速に店舗を増やしています」

 チーズティーは、塩気のきいたクリームチーズの味わいと爽やかな台湾茶のバランスを楽しめるのがポイントだ。12年に中国の深セン市に登場した喜茶は、若い女性をターゲットにしたピンク色の店舗をはじめ、さまざまなスタイルの店舗が特徴として一気に人気店になった。中国本土だけでも290店舗を展開(19年8月現在)、台湾や香港、シンガポールにも進出している。

 喜茶によって注目されたチーズティーは、香港のマックカフェがメニューに取り入れたほどの人気ぶり。喜茶は海外進出にも積極的なので、日本上陸も時間の問題とみていいだろう。

台湾の喜茶。「HEY TEA GO」は持ち帰り専用のティースタンドで、店内には座席がない
台湾の喜茶。「HEY TEA GO」は持ち帰り専用のティースタンドで、店内には座席がない
香港のマックカフェでは、チーズフォームをトッピングした6種類のドリンクを展開。中華圏ではチーズティーが人気となっている
香港のマックカフェでは、チーズフォームをトッピングした6種類のドリンクを展開。中華圏ではチーズティーが人気となっている

 タピオカミルクティーの勢いに隠れているが、実は、チーズティーを提供する店舗は、すでに日本にもある。19年6月にラフォーレ原宿の2階にオープンした、台湾発のチーズティー専門店「麥吉(machi machi、マチマチ)」がそれだ。

麥吉は、台湾メディアに「神のチーズティー」と称された現地でも人気のブランド
麥吉は、台湾メディアに「神のチーズティー」と称された現地でも人気のブランド

 麥吉は19年7月に日本2号店をルミネ横浜2階に、8月には関西初の店舗をJR京都駅構内にオープンするなど、順調に店舗数を増やしている。麥吉の店舗展開によってチーズティーの認知度が上がり、先述の喜茶が日本に進出してくるようなら、タピオカミルクティーに続いてチーズティーブームが来るかもしれない。

(写真/北本 祐子)