子供にこびない、大人の本気が受けた

 なぜ、おしりたんていはこんなにも子供たちに受け入れられたのか。髙林氏はその理由について、「子供にこびて作られていない。作者のトロルのお二人が大人の自分たちが本気で面白いと思うものを世に出している。子供の感覚はとても鋭い。おしりたんていは、クールに仕事として謎を解いていく。知的だが子供向けにありがちな道徳的な押しつけがましさもなく、あくまでプロフェッショナル。その姿と謎解きの面白さが子供の知的好奇心に訴える」と分析する。

 作者のトロルは、田中陽子氏と深澤将秀氏のコンビ作家で、おしりたんていはもともとトロルが作成したアプリのキャラクター。アプリでも謎解きはするものの、頭より体を使って解決するという内容だった。そこにポプラ社が推理ミステリーの所作を手ほどきし、より頭脳戦に仕立て上げた。

 同社はおしりたんていを一過性の流行で終わらせず、新しい国民的キャラクターに育てるため、緻密な戦略でその世界観を守ろうとしている。アニメ化に際しては、スポンサーがストーリーに介在するのを避けるためNHKを選び、番組の編集会議には毎回出席して書籍とのトーンを合わせる。また、書店限定の無料の謎解きイベントを年に数回実施して、アニメだけを見ているファンを書籍へ誘導する。

リアル脱出ゲームを企画運営するSCRAP(東京・渋谷)とコラボした「おしりたんてい なぞときイベント」は全国約3300の書店で、19年4、6、8月に実施。第1弾では書店員に告げる「はんにんは あなたですね」のキメゼリフが「かわいすぎる!」と話題に
リアル脱出ゲームを企画運営するSCRAP(東京・渋谷)とコラボした「おしりたんてい なぞときイベント」は全国約3300の書店で、19年4、6、8月に実施。第1弾では書店員に告げる「はんにんは あなたですね」のキメゼリフが「かわいすぎる!」と話題に

 人気は海外にも広がり、19年8月現在、韓国、台湾、中国、ベトナム、フランス、スペイン、カタロニア、チェコ共和国、フィンランドの9言語に翻訳されている。アニメの初回放送(18年5月3日)の視聴率では、アンパンマンやポケモンを押さえたおしりたんてい(関東エリア、ビデオリサーチ調べ)。令和時代の国民的キャラクターに向け、着実に歩を進めているようだ。

必殺技(中央)を受けた相手が劇画タッチになるのも人気のポイント(写真は読み物シリーズ)
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(画像提供/ポプラ社)


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