おいしさを伝えるパッケージに「非常食らしさ」は不要

 IZAMESHIの魅力はその“味”にある。2016年の「第一回日本災害食大賞」では、「IZAMESHI Deli 名古屋コーチン入りつくねと野菜の和風煮」が美味しさ部門でグランプリを受賞した。

 実際に買って食べてみないと伝わらない「おいしい」という魅力を、どう押し出したのだろうか。

第一回日本災害食大賞美味しさ部門でグランプリを受賞した「IZAMESHI Deli 名古屋コーチン入りつくねと野菜の和風煮」
第一回日本災害食大賞美味しさ部門でグランプリを受賞した「IZAMESHI Deli 名古屋コーチン入りつくねと野菜の和風煮」

 「パッケージにはかなりこだわっている。開発が始まった当時、他の非常食は中身がパッケージに写っているものが少なかった。一方で市販のレトルト食品は、家にあるような食器を使って撮影されて、きれいに盛られて湯気が立ち、シズル感がある。IZAMESHIでは中身の見えない従来のパッケージではなく、食卓のシーンがイメージできる写真を使用した。非常食っぽさを無くし、パッケージ買いをしてもらえるよう店頭での見せ方も工夫した」(加藤氏)。

 おいしさの他にも、他社製品と差別化をしている部分があるという。

 「おいしく食べられる長期保存食ということで、シーンを提案している。海や山に行ったときにも利用してもらえるよう、ホームページやパンフレットにイメージ写真を掲載した。ご飯やおかず、デザートまで全てそろうのもIZAMESHIならでは。ホームセンターなど小売店では、与えられた棚の陳列方法まで考えなければいけないので、同じシリーズでそろっていればきれいに見せられる」と加藤氏。主なターゲットは「30代以上の女性」だという。

非常食であってもアウトドアシーンで活用できることをアピール
非常食であってもアウトドアシーンで活用できることをアピール
デザートがあるのもうれしい
デザートがあるのもうれしい

 販路開拓にも積極的で、営業部一丸となって拡販に取り組んだ。展示会にもできる限り参加し、バイヤーとの商談機会を多く設けた。その甲斐あって、もともと付き合いのあったホームセンターの他、現在では大手量販店や百貨店、雑貨店などにまで間口を広げている。

カフェの出店も計画中

 14年にIZAMESHIを発売し、翌15年には売り上げは4倍に跳ね上がった。さらに18年は15年の3倍にまで上昇。つまり発売からわずか4年で10倍以上の成長だ。杉田エース全体としては、まだ売り上げのごく一部。しかし加藤氏は「近い将来、『長期保存食 IZAMESHI』が会社を支える一つの柱になれば」と期待する。

 19年12月オープンを目指し、IZAMESHIを提供するカフェを計画している。BtoCの事業拡大を視野に入れ、実際にお客に食べてもらう接点を設けるのが狙いだ。

 建築金物を扱う会社が、食品でヒットを生んだ。全くの異分野だったからこそ、味にしろパッケージデザインにしろ、業界の常識にとらわれることなく商品開発ができた面もあるだろう。辛い状況でも、笑顔になる瞬間があるといい――杉田エースが手がける非常食には、そんな願いが込められている。

(写真提供/杉田エース)