「うんこ」をテーマにした体験型アミューズメント空間「うんこミュージアム」が2019年8月9日、ダイバーシティ東京(東京・江東)にオープン。19年3月に期間限定で開業した横浜では、女性を中心に4カ月で約20万人が訪れ、会期が2カ月延期されるほど。今後は海外展開も視野に入れている。

お台場にオープンした「うんこミュージアム TOKYO」
お台場にオープンした「うんこミュージアム TOKYO」

来場者の9割は女性

 「うんこミュージアム」を手掛けたのは、教材アプリ「うんこ演算」など“うんこ”をテーマにしたコンテンツをリリースする面白法人カヤックと、横浜中央郵便局別館をリノベーションし、複合型エンターテインメント施設「アソビル」をつくったアカツキライブエンターテインメント。

 カヤックがうんこ演算をリリースした2011年以降、子供向けの学習ドリル「うんこドリル」が登場し、空前のうんこブームを巻き起こしたものの、3次元の体験型コンテンツはなかった。体験の前後で価値観が変わるほどの衝撃をもたらすエンターテインメントを提供したいという思いで、今回体験型にこだわって企画した。

 来場者には入場してすぐに大声で「うんこ!」と叫ぶことを求め、“価値観の変革”を促す。続いて通路にずらりと並んだカラフルな便器(マイうんこメーカー)に座って「マイうんこ」をゲット。それを会場内の専用スタンドにセットすれば、壁面のうんこがカラフルに光り出す……。こうしたSNS映え(「うんスタ映え」というらしい……)する空間「ウンスタジェニックエリア」では、うんこのかわいさを存分に楽しめ、臭い、汚いといったネガティブなイメージを覆す。他のエリアも同様に、見て、触って、撮って、遊んでといった「うんこ体験」がてんこ盛りの施設だ。

 うんこミュージアム YOKOHAMAとTOKYOはほぼ同じアクティビティーだが、テーマが異なる。YOKOHAMAは「固定観念を水に流す」。それに対して動線をさらに効率化したという東京会場のテーマは「MAXうんこカワイイ」だ。ターゲットは女性で、実際にYOKOHAMAの来場者の8~9割は女子高生など若い女性だった。ファミリーも多く、幅広い年齢層に支持されているようだ。TOKYOではスイーツに見立てたり新たなゲームを追加したり、かわいい、楽しいイメージをさらに強化した。

来場者は入場してすぐに大声で「うんこ!」と叫ばされ……
来場者は入場してすぐに大声で「うんこ!」と叫ばされ……
マイうんこメーカーでマイうんこをゲット!
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コンビニエンスストアを模した「うんコンビニ UNKO MART」はTOKYOで初出店
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うんこ界の女王の部屋がコンセプトで、ついにスイーツのモチーフにも
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「うんこは万国共通の知的財産」

 なぜ「うんこ」はそこまで人を引き付けるのか。同施設の総合プロデューサーを務めるアカツキライブエンターテインメント執行役員の小林将氏は、「知名度が抜群のうんこは万国共通の強い知的財産。最高の体験コンテンツであるにもかかわらず、外で開けっ広げに話すのはタブー。ここで大声で『うんこー!』と素直に叫べば、その日常から解放されて楽しいに決まっている」と話す。

 制作プロデューサーのカヤック企画部プロデューサー・香田遼平氏は、「うんこへの愛着は人類のDNAに染み付いている。一方で、あのまま『うんこ演算』など2次元コンテンツばかり作っていたら、ここまでのヒットにつながらなかった。アカツキライブエンターテインメントとタッグを組んで体験型にしたことで受け入れられた」と、分析する。

アカツキライブエンターテインメントの小林将氏(写真右)とカヤックの香田遼平氏
アカツキライブエンターテインメントの小林将氏(写真右)とカヤックの香田遼平氏

 うんこミュージアム TOKYOは半年で約35万人の来場を目指す。インバウンド需要も見込んで、海外からの観光客が多いお台場エリアを選んだ。TOKYOではすべて3カ国語(日、英、中)で表記する。

 海外からの注目度も高い。YOKOHAMAのオープン以降、国内外の自治体やデベロッパーから50件以上の問い合わせがあったという。今後は主要都市や海外での展開も視野に入れており、アジア進出を当面のマイルストーンにする。「うんこミュージアム YOKOHAMAをオープンするに当たり、エンターテインメントの本場、ロサンゼルス(LA)でエンタメを学んだ。最終的にはLAに進出したい」と、小林氏は熱意を込める。

うんこミュージアム TOKYOだけの新作ゲーム「白刃どり」。上から落ちるうんこをキャッチする動体視力が試される
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毎時35分と55分に“フン火”する「ウンコ・ボルケーノ」があるボールプール。拾ったフンはトイレに流す
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うんこミュージアム TOKYOではグッズ売り場を「UNKO FACTORY」と名付け、エンターテインメントの一環として楽しめるよう、会場と空気感を分断しないよう工夫した
うんこミュージアム TOKYOではグッズ売り場を「UNKO FACTORY」と名付け、エンターテインメントの一環として楽しめるよう、会場と空気感を分断しないよう工夫した

(写真/中村宏)

■変更履歴
記事のタイトルを「女性に大人気の「うんこミュージアム」 ついに東京進出」から「女性に人気「うんこミュージアム」 東京・お台場進出」に変更しました[2019/12/10 13:30]
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