「この一食で、すべての栄養、全部どり。」をコンセプトに、日清食品が2019年3月末に発売した完全栄養食「All-in」シリーズ。第1弾のパスタに続き、8月には同社が得意とする中華麺を使った「まぜそば」を投入する。

日清食品の完全栄養食「All-in」シリーズ第2弾は「まぜそば」
日清食品の完全栄養食「All-in」シリーズ第2弾は「まぜそば」

 今回発売するのは、まぜそばタイプの「All-in NOODLES」。麺とたれ、具材がセットになったカップタイプ3品(「卵黄だれとラー油をきかせたコク旨油そば」「パクチー香るトムヤムまぜそば」「ごま香る濃厚担々まぜそば」)と、麺のみが入った袋タイプの計4品となる。

 価格はカップタイプが600円、袋タイプが400円(いずれも税別)。8月19日から日清食品グループオンラインストアとECサイト「LOHACO」で販売する(日清食品グループオンラインストアでは8月6日午前11時から先行予約の受け付けを開始)。

麺とたれ、具材がセットになったカップタイプは3品(左から、「卵黄だれとラー油をきかせたコク旨油そば」「パクチー香るトムヤムまぜそば」「ごま香る濃厚担々まぜそば」)
麺とたれ、具材がセットになったカップタイプは3品(左から、「卵黄だれとラー油をきかせたコク旨油そば」「パクチー香るトムヤムまぜそば」「ごま香る濃厚担々まぜそば」)

 前回のパスタと同様、麺には1日に必要なすべての栄養の3分の1以上の量となる、13種類のビタミン、13種類のミネラル、タンパク質、食物繊維を配合。一般的な中華麺に比べて糖質を約4割カットしているという。作り方も前回のパスタとほぼ同様。カップに麺と湯を入れて6分待ち(袋タイプは鍋で4分間ゆでる)、湯を捨ててからたれを入れて混ぜれば完成だ。

 第1弾のパスタは発売直後に販売計画2カ月分の在庫がわずか5時間で完売したという。「健康を気にし始めた40代の購買がメインになると思っていたが、20~30代男性が中心で意外に若い層が多かった」(日清食品マーケティング部 ダイレクトマーケティング課ブランドマネージャーの佐藤真有美氏)。そこで今回は“脱・栄養食”を目指し、味付けのしっかりした“がっつり系”まぜそばに仕上げたという。

 実際に食べてみると、油そばと担々まぜそばはたしかにガツンと濃い味で、トムヤムまぜそばも酸味のきいた爽やかな印象でありながら、味付けはしっかりしていた(1食あたりの食塩相当量は2.8~3.6g)。麺のぼそぼそした感じは否めないが、これだけしっかり味が付いていると、“栄養が取れるがっつり系フード”という一つのジャンルとして満足できる気がする。

 しかし、なぜ中華麺の第1弾がラーメンではないのか。理由は麺を湯戻ししたときの湯の味が小麦の麺と比べて悪く、おいしいスープにする点で課題が残っているからだという。同社では湯戻しした後の湯でもおいしく食べられるスープを開発すべく、試行錯誤しているとのこと。

好調だったパスタの販売傾向は?

 第1弾のパスタの販売動向として、まず購入単位は6食が多く、3フレーバー×2個のセットが一番売れている。送料がかかるので、せっかくならと複数購入する人が多いのだろう。購入者の大半は新規で、定期購入は金額ベースで8%程度とまだまだこれからだが増加傾向にあるという。

 7月までの全購入者に占めるリピーター(複数回購入者)の割合は2割を超えた。最初は7割がカップタイプで、リピーターになると麺だけ買い、市販のパスタソースをかけて手軽に食べたり、サラダにするなど自分でアレンジしたりする人もいる。配送先にオフィスを選んでいるリピーターも多く、購入者は大阪、福岡など東京以外の全国主要都市在住者も。ECだからこそ、全国各地のアーリーアダプターを捉えられたといえる。

第1弾のパスタの販売動向。初週は30代男性をメインに20代など想定より若い世代の購入が目立ち、情報は浸透してきた2.5カ月後は50、60代が伸びた
第1弾のパスタの販売動向。初週は30代男性をメインに20代など想定より若い世代の購入が目立ち、情報は浸透してきた2.5カ月後は50、60代が伸びた
3月末に発売したパスタは6月から供給が整い始め、7月は6月以上に売り上げがアップ。7月までの全購入者に占めるリピーター(複数回購入者)の割合は2割を超えた
3月末に発売したパスタは6月から供給が整い始め、7月は6月以上に売り上げがアップ。7月までの全購入者に占めるリピーター(複数回購入者)の割合は2割を超えた

 完全栄養食は「必要な栄養素がすべて取れる」というコンセプトが米シリコンバレーでブレークし、日本でもスタートアップ起業家やITエンジニアなどを中心に支持されている。そこで、同シリーズの発売を記念した試食イベントを8月19日、起業家やクリエイターなどが多く利用するコワーキングスペース「WeWork」の旗艦店「アイスバーグ」(東京・渋谷)で実施。9月末からは、WeWork内にある売店でもカップタイプ3品を販売する予定だ。完全栄養食と親和性の高いイノベーターやアーリーアダプターをさらにしっかり取り込んでいこうということだろう。

現時点では完全栄養食と親和性の高いイノベーターやアーリーアダプターがターゲット
現時点では完全栄養食と親和性の高いイノベーターやアーリーアダプターがターゲット
この記事をいいね!する