アスクルはBtoC向けのLOHACO事業で、今秋にも新しいプライベートブランド(PB)を立ち上げる方針を明らかにした。新PBも含めて同事業で扱う独自製品を増やし、今後の収益改善につなげる。

2018年に開催された「暮らしになじむLOHACO展」の様子
2018年に開催された「暮らしになじむLOHACO展」の様子

 新ブランドの名称は未定だが、食品関連などもPBの対象に挙がっている。同社はBtoB向けのASKUL事業では、PB製品を含む独自商品が売り上げの36%超を占めており、収益の柱になっている。既にLOHACO事業でもメーカーと組んで開発した独自商品が多いが、新PBなどをさらに追加していく考えだ。

 アスクルはLOHACO事業の譲渡などを巡ってヤフーと対立。2019年8月2日に開催した株主総会で岩田彰一郎社長兼CEO(最高経営責任者)は再任されず、同日付で退任した。再任の可否が問われると株主総会では多くの株主が拍手で承認したが、既に反対票を投じていたヤフーとプラスに否決された。一方でヤフーから派遣された取締役の可否を聞くと拍手はほとんどなかったが再任された。

 その後の記者会見で岩田氏は「株主総会の決議なので結果は厳粛に受け止め、今日をもって経営から退く。ただ、資本の論理だけで他を無視し、何をしてもいいのか」と今回のような親子上場の問題点を改めて指摘。「今後は少数株主として、外から十分に注視していきたい」と話した。

 ヤフーは2日に開催したアナリスト向け19年度第1四半期の決算説明会で、坂上亮介CFO(最高財務責任者)が岩田氏退任についてコメント。「新しいアスクルの業績の早期回復と企業価値向上に最大限協力していきたい」と述べた。ヤフーを傘下に持つソフトバンクグループも「このたびの件はヤフーの案件であり、ヤフー執行部が意思決定したものです。本件はヤフーの独立性を尊重して、ヤフー執行部の判断に任せております」と発表。これで泥沼状態だった両社の騒動に終止符を打った。

退任後の記者会見で、岩田氏は時折、無念さをにじませた
退任後の記者会見で、岩田氏は時折、無念さをにじませた

アスクル新社長はBtoCカンパニーCOOの吉岡氏が昇格

 アスクルは2日夕方、LOHACO事業を担当してきたBtoCカンパニーCOO(最高執行責任者)の吉岡晃取締役が社長兼CEOに昇格すると発表。同事業の後任には木村美代子氏がCMO(最高マーケティング責任者)と兼任する形で就任した。吉岡新社長は「これからもアスクルのDNAをしっかりと受け継いでやっていきたい」と記者会見で語った。

 BtoCカンパニーCOOとなった木村氏は、日経クロストレンドの取材に対して「(新体制になっても)LOHACOのサービスは何も変わらない。より一層お客さまの利便性を追求し、お客さまにご支持いただけるサービスとしてさらに進化させたい」とコメント。「ECマーケティングラボを通したメーカーとの共創や(毎年10月に開催する)暮らしになじむLOHACO展の活動は、メーカーと一緒に成長するための不可欠な存在なので、これからも継続していく」と語った。

 今回の騒動は、LOHACO事業の赤字に起因することは間違いない。今後は新PBを含む独自商品がどこまで伸びるか、配送などのコスト要因をどこまで低減できるか、そして最終的にLOHACO事業をどこまで改善できるかが注目されるだろう。まずは10月開催予定のLOHACO展にどんな商品が出てくるのか、新PBの詳細がどうなるか、などが1つの試金石になりそうだ。

アスクルの新体制。中央が社長兼CEOに就任した吉岡晃氏で、右がBtoCカンパニーCOO兼CMOの木村美代子氏
アスクルの新体制。中央が社長兼CEOに就任した吉岡晃氏で、右がBtoCカンパニーCOO兼CMOの木村美代子氏
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