他社企業に声を掛け白馬で協業、集客効果に期待

 近年、白馬八方尾根には春から秋のグリーンシーズンに10万人強が訪れる。年間来客数の約20%で、その多くがトレッキング客だ。和田社長は白馬マウンテンビーチで若年層を集客し、この時期の来客数を全体の3割にまで引き上げたいと考えている。その対策として、白馬観光開発は以前から外部のノウハウを積極的に取り入れてきた。今回の中村氏の起用もその一環といえる。

 それ以外にも複数の企業がパートナーとしてプロジェクトに参画している。18年2月にはうさぎ平テラスの1階にカフェを新設し、スターバックスがドリンク提供を開始。白馬マウンテンビーチでは協賛企業として「コロナビール」の販売元であるアンハイザー・ブッシュ・インベブ ジャパンと、ファッションブランド「ロキシー(Roxy)」のボードライダーズジャパンなどが名を連ねる。コロナビールはスペースの一角のディレクションを担当し、ロキシーは貸し出し水着を提供する。

「八方うさぎ平テラス」の外観。施設の有効活用がプロジェクトの発端(写真提供/白馬観光開発)
「八方うさぎ平テラス」の外観。施設の有効活用がプロジェクトの発端(写真提供/白馬観光開発)
コロナビールのスペース。爽やかな喉越しを喚起するイメージがリゾート気分を増進する
コロナビールのスペース。爽やかな喉越しを喚起するイメージがリゾート気分を増進する
ロキシーは女性用の貸し出し水着を提供(男性用はクイックシルバーが提供)。肌を見られることに抵抗のある女性を考慮し、湯あみ着も用意
ロキシーは女性用の貸し出し水着を提供(男性用はクイックシルバーが提供)。肌を見られることに抵抗のある女性を考慮し、湯あみ着も用意

 19年7月13日に開場した「IWATAKE GREEN PARK(イワタケグリーンパーク)」には、大手アウトドアメーカーのスノーピークが参画。同社監修の下、白馬岩岳のゲレンデ山頂付近をリニューアルした(関連記事「スノーピークがグランピングの最高峰ブランド 第1弾は八方尾根」)。“山頂シェアオフィス”として大自然の中で仕事ができる「森のテラス」や、「プライベートデッキ」など、用途ごとに異なる5つのエリアがあり、スキー場の休業時期に営業する。

山頂シェアオフィスとして使えるイワタケグリーンパークの森のテラス。働き方改革の1つとして注目を集める、休暇を兼ねたリモートワーク“ワーケーション”を実現(写真提供/白馬観光開発)
山頂シェアオフィスとして使えるイワタケグリーンパークの森のテラス。働き方改革の1つとして注目を集める、休暇を兼ねたリモートワーク“ワーケーション”を実現(写真提供/白馬観光開発)
シェアオフィスのそばにはキャンピングチェアも設置。美しい風景を目前に読書でも昼寝でも好きなことをして、ぜいたくな時間を過ごせる
シェアオフィスのそばにはキャンピングチェアも設置。美しい風景を目前に読書でも昼寝でも好きなことをして、ぜいたくな時間を過ごせる

 白馬観光開発が外部企業とタッグを組み、短期間で白馬一帯のマウンテンリゾート化を推し進める背景には、国内のスキー市場の縮小や施設の老朽化の問題がある。その解決策が、1年中観光客を呼べる「白馬村のマウンテンリゾート化」だ。

 「東京で暮らしている僕らからすると、この場所の絶景だけで非日常的な空間。冬にスキー場を運営している所で、景観を観光資源に集客している海外事例を見ているので、ここは日本にとって可能性がある」と中村氏。今回のプロジェクトを進める中で「白馬観光開発の思いに非常に熱いものを感じた」(中村氏)。

 海外では冬でもスキー場の目の前でプールやジャグジーに入ってくつろぐのが普通に見られる光景だという。白馬マウンテンビーチはいったん10月で運営を終了するが、基本的には冬期の継続営業も視野に入れている。

海にも山にも共通するのは、おおらかで豊かな自然が来る者を拒まず待っていることだ
海にも山にも共通するのは、おおらかで豊かな自然が来る者を拒まず待っていることだ

(写真/丹野加奈子、写真提供/白馬観光開発)