(写真/Shutterstock)
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 人々の価値観が「所有」から「利用」へと移行するにつれて、「サブスクリプション(サブスク)」の有料サービスが世界中に広がっている。ユーザーは継続して料金を支払うことで、サービスを安価に何度でも利用できる。提供する企業はロイヤルティーを高めることで顧客との関係を維持し、長期間にわたって利用してもらえる。両者の間にWIN-WINの関係を構築できることが、現在のサブスク人気を支えている。

 しかしサブスクには利益の回収が長期間にわたることや、単に課金形態を定額にしただけでは継続的に利用してもらうのが難しいことなど、克服すべきデメリットや課題もある。そこで「日経クロストレンド」ならではの視点で、サブスク導入で成功するためのヒントや、失敗を回避できる秘訣が分かる記事7本を紹介する。

企業サブスク最前線

トヨタが「KINTO」の開始を迫られた3つの理由 僅か1年で事業化

 自動車業界でも「所有から利活用へ」の流れが加速している。トヨタ自動車のサブスクサービス「KINTO(キント)」は、2019年2月から東京でトライアルを開始した。トヨタのサブスクサービスでは「プリウス」「クラウン」「レクサス」など、人気車種の新車が月額料金で乗れる。「モビリティーカンパニー」を目指すトヨタが、今後、どのようなサブスクを実現していくのか。自動車産業の未来を占う上でも必読だ。


パナソニックがコーヒー? 家電+食材のサブスク化へ試金石

 IoTと生活家電を掛け合わせたら何ができるのか。パナソニックの出した1つの答えが「コーヒーのサブスク」だ。同社の「ハードウエアを作って売るだけでは駄目」という危機感から考案された「The Roast」では、1台10万円(税別)のコーヒー焙煎(ばいせん)機と定期頒布のコーヒー豆(生豆)がパッケージで売られている。「新しい消費体験」を掲げるパナソニックは、このサブスクを「家電の売り切り」から「継続利用」への足掛かりとできるか。


AOKI撤退の定額制スーツ 挑むレナウン、成功へ3つの指針

 サブスクサービスの中で、いち早く立ち上がった分野がアパレルだ。しかしAOKIホールディングスはスーツレンタルのサブスクで先攻したものの、開始半年で撤退。その一方でレナウンが同様の事業を開始した。なぜ、あえてこのタイミングでスーツのサブスクに挑むのか。レナウンの勝算は「顧客中心主義による圧倒的利便性」にあった。レナウンとAOKIのサービスの違いを検証して“失敗しないサブスク”を学ぶ。


サブスク成功の鍵

スーツも玩具も月額制 「サブスク」ビジネス3つの新潮流

 「ネスカフェ アンバサダー」で寝覚めのコーヒーを飲み、DMMで定期購入の替え刃でひげをそり、コスメ・コムのサンプル定期便「BLOOMBOX」でメークして、洋服の借り放題サービス「airCloset」の服を着て出勤する……。朝起きてから夜寝るまでの、ビジネスパーソンの生活シーンにさまざまなサブスクサービスを織り込んで紹介。この記事を読めば、サブスクの成功事例が俯瞰(ふかん)できる。


サブスク会員130万人! コンタクトのメニコン、驚異のV字回復

 メニコンは日本のサブスクの先駆者だ。2001年、コンタクトレンズを月額制で利用できるサービス「メルスプラン」を導入し、数年連続で落ちていた売り上げのV字回復に成功。会員数は130万人(19年1月現在)を超えた。開始当初はあまり理解されなかったというサブスクサービスを同社はどのようにして世間に広め、国内コンタクトレンズ関連事業の売り上げの約7割を占めるビジネスにまで成長させたのか。成功の秘訣を探る。


過熱に警鐘を鳴らす

「サブスク市場の先駆者」に大打撃 米国からの教訓

 米国のサブスク市場では、既に淘汰が始まっている。17年にニューヨーク証券取引所に上場した、ミールキット(食材セット)の定期購入のサブスクサービスを提供する「ブルーエプロン」は、創業社長が退任し、株価も低迷している。競合サービスの増加に加え、SNS広告に頼った新規顧客の獲得コストがかさみ、収益を圧迫。ビジネスモデルの転換を迫られている。日本のサブスク市場の未来予測に役立つ記事。


氾濫し始めた「サブスクリプション」、その真偽を問う【専門家解説】

 サブスクの定義、提供企業とユーザーそれぞれのメリットとデメリット、歴史と実例、導入方法から日本の社会にもたらす変化まで、そのすべてをサブスクに詳しい兵庫県立大学の川上昌直教授が解説する。定額制というだけで「サブスク」を名乗るサービスが氾濫し始めた現在、「本物をどう見分けるのか」「どんな企業がどのように導入すれば成功するのか」などについても分かりやすく説明する。

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