東京急行電鉄(以下、東急電鉄)が2019年7月、オープンイノーベーション施設「Shibuya Open Innovation Lab(SOIL、ソイル)」を渋谷に開設した。スタートアップ企業などの関係者を対象とした施設を、日本経済新聞社も渋谷での取材拠点として活用する。
SOILは新規事業の社会実装、つまり既にサービスやプロダクトとして完成した事業のマネタイズや量産化、事業拡大を目指すポストシードステージ以降の支援に特化する。東急電鉄は2019年11月に渋谷エリアにスタートアップ支援施設「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)」を開設する予定。両施設のすみ分けについて、東急電鉄フューチャー・デザイン・ラボ イノベーション推進担当の加藤由将課長補佐は「渋谷キューズは0を1にする施設であるのに対し、SOILは1からnに育てる施設」と説明する。
SOILが入るのは渋谷・宮益坂の雑居ビルのワンフロア。渋谷キューズが19年11月に開業する商業施設「渋谷スクランブルスクエア」内に入るのに比べると、かなり質素な印象を受ける(関連記事「渋谷スクランブルスクエア 中川政七商店、THEの旗艦店も出店」)。「(複合商業施設など)新しい建物への入居も検討した。だが、そうした建物はセキュリティーチェックのポイントも多く、施設に入るまでの物理的なハードルが高い。スタートアップのマインドとカジュアルなコミュニケーションを考えて、あえてこの建物を選んだ」と加藤課長補佐は話す。
SOILのセキュリティーポイントは1カ所。建物の入り口をくぐってエレベーターで施設のある7階まで上がれば、後は受付を通るだけだ。同施設の用途はミーティングやイベント、カンファレンスなどで、人の出入りも多い。こうした「気軽さ」は利用者としてはありがたい。
同施設は日本経済新聞社の取材拠点としても利用される。同社にはスタートアップ取材専任チームもあり、スタートアップが集積する渋谷エリアに拠点を設けることで取材の機動力を高めるのが狙い。「日経新聞の支局は23区内にはないが、SOILを支局のような位置付けとして活用していきたい」(日経イノベーション・ラボ所長兼デジタル事業担当の日本経済新聞社・渡辺洋之常務取締役)という。
(写真提供/東京急行電鉄)