第5世代移動通信システム「5G」の国内の商用サービス開始が目前に迫っている。「高速・大容量」「低遅延」「多接続」の特性を持つ5Gには、スマートフォンの使い勝手や関連サービスを飛躍的に進化させるだけでなく、IoT普及を加速させる情報通信インフラの整備や自動運転、遠隔医療、顔認識など高度技術の実用化の推進が期待されている。
一方で、5Gは従来のさまざまな産業におけるBtoCのビジネスモデルをBtoBtoXに進化させるなど、市場に大きなインパクトをもたらす。5Gがもたらす高度情報化社会のパラダイムシフトに備えるべく、消費マーケティングの専門ネットメディア「日経クロストレンド」ならではの視点で、マーケターが知っておくべき「5G」の現在と未来が分かる記事7本を紹介する。
「BtoC」から「BtoBtoX」に進化

大手キャリアでは5Gの導入に向けて、従来の“BtoC”から他業種の企業と一緒にサービスを作り上げる“BtoBtoX”のビジネスへの移行を進めている。ソフトバンクは企業向けに最新技術を広めるラボを開き、自動運転技術の活用を見据えてトヨタ自動車と共同出資するなど、投資会社としての側面を強めている。通信技術のイノベーションで既存のビジネスはどう変わるのだろうか。

NTTドコモは5Gサービスの開発で企業同士のマッチングを促す
NTTドコモが2018年2月から始めた「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」の参加企業が8カ月で1800以上に到達。同社の最新の設備や技術を利用して、アイデアのブラッシュアップや実現性の検証を行えると同時に、企業同士のマッチングの場にもなっている。新しいBtoBtoXのサービスを共創するため、NTTドコモが打ち出した大胆なパートナー戦略を徹底的に分析する。
「日本の5G戦略」を把握する

携帯大手の5Gサービス早分かり ドコモ、KDDI、楽天どう動く
19年4月、携帯大手3社と楽天が総務省から5Gの周波数を割り当てられた。20年の商用化に向けた各社の戦略はさまざまで、今後の業界地図を理解するには、4社のサービス内容の比較検討が必須。それぞれの周波数帯の特徴を生かし、4社がどのような事業を展開し、市場を開拓していくのか。動きの速いスマートフォン業界の動向を含めて、今後の5Gビジネスを読み取るヒントとなる情報が満載。

創業以来、市場にさまざまなイノベーションを起こしてきた楽天が、19年10月、移動体通信事業者(MNO)として携帯電話サービスを開始する。大手携帯3社がパートナー企業と事業展開を図るのとは逆に、幅広い分野で実績を残してきた同社は、6000億円の投資額を調達して自社ネットワークの整備、BtoBtoXの事業展開も進めている。アイデアあふれる楽天の今後の5Gビジネスを詳しく解説する。

5Gの弱点は通信距離 利用者に近い街灯アンテナで新サービスも
地域社会の課題に向き合うため、5Gの通信技術を利用したさまざまなサービスが考案されている。建設現場で遠隔操作可能なブルドーザー、同時に数百カ所への映像送信ができるアンテナとVR(仮想現実)ゴーグル、5G帯域の通信範囲の狭さを補う街灯型アンテナなど、現場の安全やエンターテインメント、街づくりまで広がる5Gの最新技術の可能性を考察すれば、5G戦略の立案の一助となるだろう。
世界と日本の5G競争の現状分析

遠隔医療や自動運転などのIoTの実現を見据えて、海外キャリアは社会インフラとしての5G商用サービスの開始を急ピッチで進めている。一方で本格的な商用化を東京オリンピック開催の20年に合わせた日本の「5G化競争」の遅れが危惧されている。日本の5Gは大丈夫なのか。準備はどこまで進んでいるのか。各企業の取り組みをリポートする。

多くの国で5Gの商用サービスや製品販売が始まった「5G元年」の19年春、スペインで開催された携帯電話の総合見本市では、5G対応の法人向け製品やゲームの最新機器、NTTドコモがヤマハと共創した「テレプレゼンス」の展示などが紹介された。その詳報と5G普及がもたらす通信料金体系の変化に触れたこの記事は、「5Gで社会がどう変わるか」を読み解く鍵になるだろう。