ドイツ本社も認めたブランド情報発信拠点の重要性

 メルセデス・ベンツの“車を売らないショールーム”というコンセプトを打ち出したのは、上野金太郎MBJ社長兼CEO(最高経営責任者)だ。11年当時副社長だった上野氏は、メルセデスが持つ“高級すぎる”ブランドイメージに危機感を覚えていたという。1000万円超のモデルもあるブランドだけに、売りたい気持ちが前面に出てしまうと、買いたい気持ちが萎えてしまうと感じていたのだ。

 「売る」よりも「親しんでもらう」ことを優先しなければならないと考えた上野氏は、そのための空間として“車を売らないショールーム”をドイツ・シュツットガルトの本社に提案した。

 しかし本社は大反対。そこで上野氏はショールームの模型を携えて飛行機に乗り込み、ドイツまで直談判に向かった。「『途中で壊れたら困る』と言って、上野は模型を機内に持ち込み、日本からの約13時間、ずっと抱きかかえていたそうです」と奥氏。

メルセデスミー東京は東京メトロ乃木坂駅から六本木駅方面へ徒歩2分のロケーション。1階はカフェ、2階はレストランになっている
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 上野氏の熱意が伝わり、13カ月という期間限定で本社のOKが出た。そして11年7月、最初の“車を売らないショールーム”、Mercedes-Benz Connection(現メルセデス ミー 東京)が東京・六本木にオープンした。

 新しいコンセプトのショールームを視察に来た本社の幹部たちは、メルセデスのある空間でコーヒーを飲みながら会話を楽しむ人たちを見て感激したという。「『これはいいね』ということになり、メルセデス ミー 東京の存続が決定。『ほかの国でもやるべきでは』という話にまで発展しました」(奥氏)。

 今ではドイツのハンブルク、イタリアのミラノ、中国の北京など、世界各地にメルセデス ミーがあり、20年までに世界40カ所への展開を予定しているという。

ディズニーとコラボした「smart fortwo edition / MICKEY THE TRUE ORIGINAL」など、他ではなかなか見られないモデルを展示するのも、女性を意識したメルセデスミー銀座ならでは
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 18年のメルセデスの新車販売台数は6万7531台で、日本国内で販売されている純輸入車として4年連続首位を獲得している。メルセデス、BMW、レクサスなどのプレミアムブランドに限れば6年連続ナンバーワンだ。17年まで5年連続で前年比を更新したという実績もある。

 ブランディングについては多くの施策を展開しているため、上記の結果はメルセデス ミーだけの功績とはいえないが、メルセデスの認知が広がっているのは確かだろう。メルセデス ミー 銀座は8月25日までの期間限定。残された時間はあと1カ月だ。

(写真/オフィスマイカ、写真提供/メルセデス・ベンツ日本)