「インスタ映え」が流行語になってから2年経過したが、Instagram(インスタ)人気は衰え知らず。移り変わりの速いSNSの世界で、Instagram人気を維持した立役者が「ストーリーズ」だ。24時間で消えてしまう投稿にどんな魅力があるのか、ビジネス活用の利点はどこか、解説する。

Instagramストーリーズ(Facebookプレスリリースより)
Instagramストーリーズ(Facebookプレスリリースより)

親しみやすいフランクな投稿が人気

 街でタピオカミルクティーを買い求める若者たちの行列を見たことがあるだろうか。今や人気店では1時間待ちも当たり前の大ブームだ。無事タピオカミルクティーをゲットした女性たちは、友人と共に手に持ったタピオカミルクティーを撮影し、SNSに投稿する。投稿先はInstagramがほとんどだが、かつて「インスタ映え」で利用されたフィードへの投稿ではない。24時間で消える「ストーリーズ」へ投稿するのだ。

ストーリーズの投稿例
ストーリーズの投稿例

 ストーリーズはスマホに合わせた縦型利用が基本で、静止画と動画、テキストの投稿ができる。アプリ上でフィルターやスタンプ、手書きなどの加工が可能で、セルフィーの場合は顔の変形なども行える。動画は最大15秒で、再生と逆再生が繰り返される「BOOMERANG(ブーメラン)」や画面の中心にズームする「SUPERZOOM(スーパーズーム)」といったエフェクト加工も簡単だ。「ライブ」ではフォロワーに向けてライブ中継を行うこともできる。

 大きな特徴は24時間たつと消えること。時間が経過したストーリーズは自分だけが見られる「アーカイブ」に保存することもできるが、フォロワーからは見えなくなる。見返してほしいストーリーズは「プロフィール」画面の「ハイライト」に保存できるが、基本的には「消えてなくなる」投稿だ。

 この「消えてなくなる」ことが、ユーザーから熱い支持を得た理由である。消えてしまうのになぜ投稿するのかと思う人もいるだろうが、インスタ映えを目指してセンスの良い投稿をしなければならないと縛られていたユーザーに、もっと気軽に日常を投稿できる場が提供されたのだ。ストーリーズは“盛られて”いる必要はない。クスッと笑ってしまう表情や、おかしな動きの友人など、親しみやすいフランクな投稿に人気が集まっている。

 動画はごく短い数秒程度のものがシェアされやすい。友人と歩いている様子や出掛けた先の風景などをサッと撮影して投稿する。動画なら「誰とどこにいる」と説明を書き込む必要はなく、複数の写真を撮影して様子を説明しなくてもいい。

 ストーリーズは自動で遷移していくため、じっくり写真や動画を見られる心配もない。見ている人も眺めているだけで投稿をチェックできる。つまらないと感じたら、画面をタップして前後の動画に移動すればいい。投稿する側も見る側も、負担を感じず楽しめる機能なのだ。

ストーリーズならではの企業活用事例

 ストーリーズをデータで見てみよう。2019年6月のリリースによると、Instagramの日本国内における月間利用者数(MAU)は3300万人。ストーリーズに関しては、18年11月の日本のデイリーアクティブアカウントにおける利用率が70%に上り、これは2年前から約20倍もの増加だ。もはやストーリーズは、Instagramユーザーにとって身近な機能として定着したといえるだろう。

 もう1つ興味深いデータがある。Instagramによると、企業の公式アカウントをフォローしているユーザーの割合は80%を占めるという。ファッションやメーカーなど、自分の好きなブランドの公式アカウントをフォローしておけば、自動で最新情報を入手できるからだろう。特にInstagramはビジュアルの訴求力があるので、ブランドへの好感度が高まりやすい。

 ではInstagramを活用している企業はストーリーズにどのような投稿をしているのだろうか。

 化粧品や生活雑貨を取り扱うBOTANIST(@botanist_official)は、Instagramをフル活用している。フィード、ストーリーズ、ショッピング機能、IGTV(関連記事「60分動画も投稿可能 インスタ『IGTV』の活用は縦長が鍵」)と、相互に連携させた運用が特徴だ。ストーリーズに注目すると、ニュースや商品紹介などジャンル別に分けてハイライトを並べている。フィード投稿はオシャレなイメージで統一する一方、ストーリーズはスタンプなどでにぎやかに装飾している。

BOTANISTプロフィールページ
BOTANISTプロフィールページ

 注目は「HAPPY VOICE」の名称でくくられた、ユーザーのストーリーズをシェアするストーリーズだ。クチコミ力が大切なコスメ業界では、ユーザーの声を集めて公開できるのは貴重。ユーザーに自社アカウントをタグ付けしてもらうと、自分のストーリーズにシェアできるようになるため、ストーリーズのトップでフォロワーにタグ付けをお願いしている。

ユーザーのストーリーズを再ポストしている
ユーザーのストーリーズを再ポストしている

料理手順から商品ページへ誘導するパナソニック

 ストーリーズには投稿を上にスワイプするとWebページに遷移する機能もある。パナソニッククッキング(@Panasonic_Cooking)は、ストーリーズでシズル感たっぷりに料理の手順を紹介。最後に自社の調理家電を紹介し、商品ページへと誘導している。フィード投稿ではしっかりとレシピを紹介しており、料理好きの女性なら盛り付けや器のアイデアも含めて参考になるだろう。

 なお、ストーリーズへのリンク設置は一部アカウントに限られており、青い認証バッジのあるアカウント、または認証バッジがなくても「エンゲージメントの高い一部アカウント」で使用できる。認証される条件は明かされていないが、アプリから「認証をリクエスト」で申請できる。

パナソニッククッキングのプロフィールページ(左)、ストーリーズに「もっと見る」ボタンが設置されている(中)、自社の商品ページに遷移する(右)
パナソニッククッキングのプロフィールページ(左)、ストーリーズに「もっと見る」ボタンが設置されている(中)、自社の商品ページに遷移する(右)

 ストーリーズではアンケートや質問を投げかけられるスタンプで、閲覧者との交流も可能だ。キャンペーン利用などを考えている場合は、24時間で消えてしまっては意味がないかもしれない。その場合はストーリーズ広告の出稿を検討するといいだろう。

 ストーリーズ広告はユーザーのストーリーズに挟まれて表示されるため、極めて自然に受け入れられる。広告なら24時間たっても消えないので、アンケート機能でインタラクティブなやり取りも可能。広告はアカウントのアイコンの横に「広告」と出るだけ。スマホの全画面を利用できるため縦型クリエイティブに向いているが、既にフィードに投稿した写真や動画を加工してフォーマットに合わせるツールも用意されているので安心だ。詳細はInstagramビジネスのストーリーズ広告ページで確認できる。

(画像/鈴木 朋子)