再開発が進む渋谷駅周辺。なかでも目玉施設として注目を浴びるのが駅直結の複合商業施設「渋谷スクランブルスクエア」だ。2019年11月の開業を前に、テナントの詳細が明らかになった。
東急フードショーとエキュートが同時に出店
渋谷スクランブルスクエアは東京急行電鉄、東日本旅客鉄道、東京地下鉄が協業する施設で、東棟、中央棟、西棟の3棟で構成。19年11月1日に東棟を第1期として開業する。東棟は地上47階建てと渋谷エリアでは最も高層。地下2階~地上14階は商業エリアで、212のショップやカフェ、レストランが入居する。そのうち、日本初出店は7店、都内初は4店、渋谷エリア初は45店舗だ。
地下2階~地上1階は食物販が中心。台湾で人気のレストランの総菜専門店「参和院 (サンワイン)」、ハワイのビーガンカフェが手がけたデリやスイーツの専門店「Peace Cafe Hawaii(ピース・カフェ・ハワイ)」、フランス・パリの人気パティスリー店「MORI YOSHIDA (モリ ヨシダ)」など、観光地として人気が高い都市からの日本初出店が相次ぐ。
鉄道3社が協業していることもあり、東急百貨店が運営する「TOKYU Foodshow EDGE(トウキュウ・フードショー・エッジ)」と、JR東日本リテールネットが運営するエキナカ商業施設「エキュート」の新業態「ecute EDITION(エキュート エディション)」が同時に出店しているのがユニークだ。
国内外から人気が高い2ブランドの旗艦店に注目
2階~11階はファッションやライフスタイル、化粧品を扱うフロア。駅直結の商業施設ということもあって、定番の人気ブランドが名を連ねており、これといった目新しさはない。
注目は、旗艦店として出店する2ブランドだ。「日本の工芸」をテーマに雑貨や工芸品を扱う「中川政七商店」は、売り場面積約430平方メートルで国内最大規模となる店舗を11階に出店。全国800以上のメーカーの商品約4000点をそろえる。
創業の地・奈良の町並みをイメージした店舗では、中川政七商店として初めてのオーダーカウンターを設置。希少な麻の生地を使ったタペストリーや座布団などを発注できる。店内では工芸のデザインから製造までのプロセスを紹介した展示など、企画展も行われる予定だ。
しょうゆ差しやTシャツなど、ジャンルを問わず、さまざまなメーカーと手を組んでオリジナル商品を開発、販売する「THE(ザ)」は、国内直営3店舗目にして最大規模の旗艦店「THE SHOP(ザ ショップ)」を8階に出店。店内にはイベントスペースも設ける予定で、定番商品に加えて渋谷店のオープン限定商品も扱う。
中川政七商店は手ごろな価格帯の商品も多く、蚊帳に使われていた生地を使ったふきんなどは外国人観光客にも人気。また、THEが作る簡素なデザインの商品は海外での評価も高く、老舗石鹸(せっけん)メーカーの松山油脂と手を組んだ「THE SOAP」はアジアを対象としたパッケージデザインの賞も受けている。
スクランブルスクエアは約230メートルという高さを利用して高層階と屋上に展望施設を設ける。国内外からの多くの観光客が見込まれるなかで、この2つの旗艦店は大きな話題を呼ぶだろう。
(写真提供/渋谷スクランブルスクエア、中川政七商店、THE SHOP)