2019年4月から働き方改革関連法が順次施行されたのをきっかけに、多様化する働き方に応じた様々な新サービスが誕生している。キリン系のスプリングバレーブルワリーはクラフトビールのサブスクサービスを開始。アパレル大手のワールドグループも、カジュアルなオフィス着のオーダーメードを始めた。
2019年4月から働き方改革関連法が順次施行されたのをきっかけに、多様化する働き方に応じた様々な新サービスが誕生している。キリンビールの子会社でクラフトビール専門店を運営するスプリングバレーブルワリー(以下、SVB)は19年6月17日から、東京・銀座にあるビアスタンド「BEER TO GO by SPRING VALLEY BREWERY(以下、BTG)」でクラフトビールのサブスクリプションサービス「CLUB BTG」を開始した。月額2496円(税込み、以下同)で、好みのクラフトビールを1日1杯飲むことができる(平日のみ)。
SVBは、残業時間の削減によって生まれる「終業後の時間」に着目した。仕事終わりにクラフトビールを飲んでリフレッシュしたり、自分好みの味を探求したりして、BTGで有意義な時間を過ごしてもらおうという考えだ。これからの時代にあったビールとのスマートな付き合い方として、サブスクリプションのサービスを取り入れた。
月5回通えばお得に
同社によると、クラフトビールのサブスクリプションのサービスは全国で初だという。最大17種類ある1杯500円のクラフトビールの中から選ぶことができ、月5回通えば元が取れる計算。SVBの島村宏子社長は記者発表会で「BTGの平均客単価は1200~1800円ほど。サブスクリプションを導入することで、売り上げは2割増を見込んでいる」と話した。
サブスクリプションをサポートしているのが、飲食業界のマーケティング支援を行う「favy」だ。CLUB BTGでは、favyの顧客管理ツールの新機能である「飲食店のためのサブスクツール」を導入した。このツールを導入するメリットは、注文履歴をデータ化できることだ。顧客の性別や年代、来店頻度が把握できるうえに、例えば、人気の銘柄と一緒に注文するサイドメニューの情報も正確に分析できるようになるという。
favyの高梨巧社長は、「これまで、顧客の好みは現場で働く店長や接客のスペシャリストの記憶や勘に頼っていた。だが、日々の情報を人が記憶し続けることには限界がある。サブスクを導入することで、顧客のニーズの実態も分かってくるだろう」と話す。累積したデータは、他のSVBの店舗でも活用していくという。
脱スーツで何を着るか?
アパレル大手、ワールドグループのエクスプローラーズトーキョーが手掛けるオーダーメードのブランド「UNBUILT TAKEO KIKUCHI(以下、アンビルト)」も、働き方改革をチャンスと捉えている。働き方改革で「脱スーツ」や「仕事着のカジュアル化」に取り組む企業は増加しつつある。その動きにいち早く対応。18年12月、東京・渋谷に路面店をオープンした。
アンビルトの特徴は、オーダーできる服の種類が豊富なことだ。一般的なスーツだけではなく、カジュアルなセットアップ、ジャケットやパンツなど、さまざまな働き方やビジネスシーンで活用できるビジネスウエアを取りそろえ、シャツやネクタイを着用しないコーディネートも提案。クールビズの着こなしとして、ショートパンツやオープンカラーシャツなどのオーダーにも対応している。
毎シーズン24種類のコーディネートを用意し、顧客はその中から自分の職場や働くスタイルに合った服を選ぶ。採寸した後、好みの素材や色、デザインをオーダーする。経験豊富なスタッフが採寸とカウンセリングをするので、「カジュアルデーに何を着ていいか分からない」といった人も相談しながら選ぶことができる。
アンビルトの江口智貴氏は「仕事着について相談したいというニーズは想定以上に大きい。20代の若い世代だけでなく、ファッション好きの40~50代も来店している」と話す。
アンビルトは、アパレルブランドのTAKEO KIKUCHIで長年培ってきた服づくりのノウハウをフルに活用しており、トレンドを取り入れたデザインは魅力の1つ。国内の協力工場で縫製し、品質レベルも高い。オーダーから最短で10日で完成し、2回目以降はWebで注文することも可能だ。
オーダーセットアップの価格は、3万9000~7万9000円。「アンビルトは『自分にフィットする、無駄のないスマートな生活』というコンセプトを掲げ、カスタムオーダーだけでなく、衣料品などのストレージサービスも提供している。今後は、ネクタイのレンタルやクリーニングなどのサービスも展開していきたい」(江口氏)。