「カルピス」が2019年7月7日にブランド100周年を迎えることを記念し、アサヒ飲料は過去最大規模の飲食店向け施策を実施する。7月1~7日にはカルピス仕様の屋形船を運航。海外でも展開するカルピスを、インバウンド客にもアピールする狙いだ。
アサヒ飲料によると、業務用ソフトドリンク市場はここ数年緩やかに成長しており、2019年以降も大きな変化はないと推測している。同社はメーカー別シェア(コーヒー、ディスペンサー除く)で2位とはいえ、カルピスの発売100周年に伴うプロモーションを大々的に盛り上げ、動きの少ない市場でシェア拡大につなげる考えだ。
「各社の競争が激しくなる中、アサヒ飲料は汎用性の高いカルピス、ウィルキンソンなど当社独自の価値を前面に出しながら活動している。ユーザーへの間口を拡大するため、飲食店での接点を作る方針で営業活動しており、カルピスは100周年を迎えるため注力する」と、過去最大規模となる飲食店向け施策の背景を、アサヒ飲料営業本部営業推進部業務用企画グループグループリーダーの玉越伸一氏は説明する。
お膝元・浅草の屋形船で認知拡大
複数ある施策のうち、最大の目玉は屋形船の運航だ。浅草で唯一屋形船を運営する「船宿あみ清」の屋形船4艘(そう)を、ちょうちんや横断幕でカルピス仕様に装飾し、吾妻橋(東京・浅草)からお台場までの橋をめぐる。船内ではフルーツフレーバー3種を加えたカルピスを使用したサワーやソフトドリンクを提供する。笹(ささ)の葉や短冊を用意し、乗客に七夕の願いを書いてもらう参加型イベントも実施する。
玉越氏は「歴史の古いカルピスと屋形船のコラボ企画で100周年の認知拡大を図りたい。アサヒ飲料にとって(本社があり)シンボリックな浅草の活性化にもつながれば」と、異色の組み合わせに期待を込める。
浅草は訪日外国人も多いため、インバウンド客を見込んでメニューは英語、中国語、韓国語の3カ国語を用意した。
他にも3つの施策を展開する。まずは全国の飲食店2600店舗でカルピスメニューを注文した客にグラスマーカーをプレゼントし、ハッシュタグを付けてツイッターかインスタグラムに投稿すれば、100周年限定景品が当たるSNS企画。7月6、7日の2日間は、東京・名古屋・大阪のビアガーデンで七夕にちなんだドリンクを提供するなどの記念イベントを行う。
全国約1200店舗で「夏のカルピスフェア」も実施する。カルピスメニューを充実させ、店内に笹を飾り、客が願い事を書いた短冊を飾る。18年の参加は350店舗だったが、今回は約4倍に規模を拡大。「今回の施策で初めてカルピスを使っていただいた店も多い。飲む機会が減ってきた人にも、飲食店でカルピスに触れることで改めておいしさを感じてもらいたい」と玉越氏は期待する。