レノボ・ジャパン(東京・千代田)は、2019年6月25日、テレワークの利用実態に関するアンケート調査の結果を発表した。それによると、テレワーク導入企業のほうが従業員の職場環境に対する満足度が高く、利用頻度が高いほど満足度が上がることが分かった。課題は生産性とセキュリティーだ。
導入企業は約11%、実際に利用している人はごく少数
今回発表された「テレワーク利用実態調査」は、全国の20~50代の会社員5922人を対象に、インターネットを使って2019年6月11~12日に実施したもの。「テレワーク」とはICT(情報通信技術)を活用した、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方のこと。在宅勤務、サテライトオフィス、モバイルワーキングなど、多様な働き方が可能なテレワークは、企業にとって人材活用の切り札となる可能性がある。
調査によると、現在この制度を導入している企業は11.5%。実際にテレワークが認められている人は全体の6.7%で、普段からテレワークを利用している人は4.9%にとどまる。
未導入企業と比べると満足度は2倍、不満度は半分
職場環境に対する総合的な満足度では、全体の約3割が「満足している」「やや満足している」と回答した。これをテレワーク未導入企業と導入企業に分けると、未導入企業で職場環境に「満足している」と回答した人が28.7%だったのに対し、導入企業では56.0%という結果になり、約2倍の差があることが分かった。
一方、職場環境に「満足していない」と回答した人の数は、未導入の企業で34.0%。導入企業では17.7%なので、こちらも約2倍の差がある。
職場環境に対する総合的な満足度をテレワークの利用頻度別に見ると、「週5日以上」では76.7%、「週1~4日」が71.6%で、利用頻度が高くなるほど満足度が上がる傾向が見て取れる。
半数以上はテレワークのほうが働きやすいと感じている
アンケートに答えたテレワーク利用者(200人)は、56.0%が「出社して仕事するときに比べてテレワークのほうが働きやすい」と感じている。年代別では20代が最も高く50人中36人。逆に最も低かったのは40代の50人中22人だった。
テレワークのほうが働きやすい理由については「通勤時間を作業時間に割ける」が51.5%で第1位となった。総務省統計局が発表した社会生活基本調査(2016年)によれば、通勤・通学時間の全国平均は1時間19分(往復)。これを作業に充てられれば、その分だけ有効に使える時間が増えることになる。
テレワークが無制限に利用できるとしたら、どんなことをしたいかという問いには、「隙間時間を活用して効率的に作業したい」「通勤をやめたい」のように、自己裁量による業務設計を希望する声が目立つ。また一部には「ひたすら引きこもってものづくり」「バカンスしながら仕事をしたい」といった声もあった。
一方で、テレワークが認められているにもかかわらず、利用していない人も102人いた。その理由については、62.7%が「職場の方が生産性が高い」、60.8%が「職場の方が働きやすい」と回答している。会議のために社内にいる必要があるという人が4割弱を占めるが、テレワークにはセキュリティー面の不安や、資料などデータ共有の煩わしさという課題もあるようだ。
(画像提供/レノボ・ジャパン)