一瞬、意味が分からず、2秒くらい沈黙

 最後に変な名前のパン屋の元祖ともいえる、「考えた人すごいわ」(東京都清瀬市)について触れておこう。

 オープンは2018年6月30日。1周年を迎えたばかりだが、今なお毎朝整理券が配られ、その人気は衰えていない。ショッピングモールなどでレストランを展開するオーネスティ(所沢市)の代表取締役で、「考えた人すごいわ」のオーナーである大舘誠氏はこう話す。

ケーキのような食感と言われる「考えた人すごいわ」のパン。経験したことのない口溶けのよさを楽しめる
ケーキのような食感と言われる「考えた人すごいわ」のパン。経験したことのない口溶けのよさを楽しめる

 「2017年にコッペパン専門店『(食)盛岡製パン』を千葉県市川市に出店したのが、岸本氏との付き合いの始まり。清瀬駅前の店舗について相談すると、高級食パン専門店を提案してくれた。試作品を食べると、口の中で溶けるような新食感。これはおいしいと、オープンを決断した」(大舘氏)

 「考えた人すごいわ」という店名を告げられたのは、しばらくしてから。

 「一瞬、意味が分からず、2秒くらい沈黙してから『いいですね』と受け入れました」と大舘氏は笑う。

「最初に店名を聞いたときは、一瞬固まりました」とオーナーの大舘さん
「最初に店名を聞いたときは、一瞬固まりました」とオーナーの大舘さん

 最寄りの清瀬駅は特急が止まらない比較的静かな駅。そんな駅前に、この店の食パンを求めて300人の行列ができたこともある。電車で1時間以上かけ、週に5回は通ってくる熱狂的なリピーターも少なくないという。

 「『考えた人すごいわ』は横浜市にも出店しているほか、間もなく仙台市にも出店する予定。話題の店だからか、30人の募集をかけたところ150人もの応募があった」(大舘氏)

 10坪前後の店舗で、1日数百本を売り上げることもあるというその食パンを食べてみた。厳選された小麦粉と国産バターや水にもこだわったプレーンの食パンには、「魂仕込(こんじこみ)」(2斤800円)という、らしい名前も付いている。早速、白い部分を口に含むと甘さが広がり、溶けるように消えていく。つくづく思う、考えた人すごいわ。

雨にもかかわらず、オープン前には行列ができた。「雨なので、早く買えるかもと思って来ました」と、行列に並んでいた近所のご夫婦
雨にもかかわらず、オープン前には行列ができた。「雨なので、早く買えるかもと思って来ました」と、行列に並んでいた近所のご夫婦

(写真/福光 恵)