カシオ計算機「G-SHOCK」の勢いが止まらない。2018年には販売個数が過去最高となる約950万個に達し、19年5月に発表した中期経営計画では21年の目標を1200万個とした。その目標達成のカギを握るのがメタル化とスマート化だ。G-SHOCKの今後の戦略について、時計事業の総指揮を執る増田裕一専務に聞いた。

2021年に年間出荷1200万個を目指す
2021年に年間出荷1200万個を目指す

メタル化した初代モデルが大ヒット

 G-SHOCKの売れ行きが伸びている理由は“新しさ”にある。「消費者は変化している新しいものに興味を持つ。時計は“おとなしい市場”で大きな変化はなかなかない。その中で、G-SHOCKが打ち出してきた数々のデザインが、これまでの時計にはなかったに新しさを感じてもらえているのではないか」(増田専務)

 そんな“新しさ”で最近ヒットしたのが、スクエア型の5000シリーズ初のフルメタル仕様モデル「GMW-B5000」だ。カシオ計算機が持つ金属加工技術、表面処理技術、金属と他の素材と組み合わせる技術などをG-SHOCKに投入した製品で、ケースやバンドに樹脂を使った製品とはまったく質感が異なる。18年4月に発売されるや否や人気を呼び、すぐに売り切れて入荷待ちが続く状態になった。

 「GMW-B5000は、従来のG-SHOCKファンだけでなく新規ユーザーを多く獲得できた。メタル化には大きなチャンスがあると考えている。19年の年末から翌年にかけて、これまで発売してきた人気モデルのメタル化や、もっと低価格なメタルモデルを出していく」(増田専務)

メタル素材を使った「GMW-B5000D-1FJ」(写真提供:カシオ計算機)
メタル素材を使った「GMW-B5000D-1FJ」(写真提供:カシオ計算機)

 メタル化など、G-SHOCKがデザインを重視するようになったのは90年代から。G-SHOCKは1983年に販売をスタートしたが、当初は壊れにくい信頼性を求める人をターゲットにしていた。その堅ろう性を実現するためのデザインが90年代に入ると米国でファッションアイテムとして評価され、若者を中心に爆発的にヒットしたのだ。

 「90年代に若い人たちが堅ろう性とは関係なく、ファッションアイテムとしてG-SHOCKを身に着けていることが分かった。カシオ計算機としてもデザインに力を入れ、ファッションアイテムとしてのマーケティングを行うようになった」(増田専務)

米国でのヒットが日本に波及して、人気の火付け役になった「DW-5900C」(写真提供:カシオ計算機)
米国でのヒットが日本に波及して、人気の火付け役になった「DW-5900C」(写真提供:カシオ計算機)

 しかし00年代に入るころにはブームは沈静化。売り上げは大きく下がってしまう。どうすればいいのか分からず、堅ろうな時計という基本に立ち返ることにした。本来の持ち味である防水性や耐衝撃性はそのままに、電波時計やソーラーといった新機能を取り入れ、さらにアナログ時計タイプを増やすことでデザインの幅を広げ、人気回復につなげた。

 アナログ時計にすることで、販売単価の面でもメリットがあった。デジタル時計には安価なものというイメージがつきまとって高価な製品はなかなか売れない。だが、アナログ時計にすることで5万円や10万円を超えるようなモデルも売れるようになった。