熱弁する米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスCEO
熱弁する米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスCEO

 「(今、興奮しているのは)『Project Kuiper』だ。人工衛星を使ってあらゆる場所にブロードバンド通信を提供する」――。米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)のジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)CEO(最高経営責任者)は2019年6月6日(米国時間)に開催した自社イベントで、アマゾンが宇宙事業に本気で取り組んでいることを強調した。

 ベゾスCEOは米ラスベガスで開催中の「Amazon re:MARS」の基調講演に登壇し、対談形式で宇宙事業への意気込みや自身のリーダー論、未来の見通しなどについて熱弁した。今回のイベントのテーマはMARSの頭文字で表される機械学習(Machine Learning)、自動化(Automation)、ロボット(Robotics)、宇宙(Space)の4個だが、ベゾスCEOはその中でも宇宙事業に現在は最も入れ込んでいることを明かした。

 Project Kuiperは低軌道に小型の人工衛星を3000基以上打ち上げて「衛星コンステレーション」を構築し、通信衛星を使ったインターネット接続を世界中に提供するものになる。ベゾスCEOが個人で所有する宇宙開発企業、米ブルー・オリジン(Blue Origin)ではなく、アマゾンが自ら手がける通信事業となる。ベゾスCEOはProject Kuiperに数十億ドル規模の設備投資が必要になるとの見通しを示し、「巨額の資本が必要になるので、アマゾンに適したビジネスだ」と語った。

月に工業を移すと主張

 2024年までに月への有人旅行を目指すと公言済みのブルー・オリジンに関しても言及。「月は地球からわずか3日で行けるほど近い。月に重工業を移して、地球は人間の居住地と軽工業の場所にする」(ベゾスCEO)などと語った。ベゾスCEOはブルー・オリジンが、様々な企業の月開発を支える「インフラストラクチャー」を提供することになると述べている。

 基調講演でベゾス氏は、自身のリーダー論や未来への見通しについても熱弁した。

 まずはベゾスCEO持論である「夢想家(Dreamers)」と「建築家(Builders)」という人間の二面性に関して言及。夢を描く夢想家が先にいて、その夢を建築家が現実のものにするプロセスが事業を生み出すとの見方を示した。ベゾスCEOは「音声アシスタント『Alexa』の開発に際しては、映画『スタートレック』のコンピューターから着想を得た」と語り、アマゾンの実際のビジネスも夢から始まっていると述べた。

10年後も変わらないものに取り組む

 未来の見通しに関してベゾスCEOは、「これからの10年はバイオテクノロジーが素晴らしく進歩するだろう。AI(人工知能)や機械学習もダイナミックな進化を遂げる」との見通しを示した。そしてその上で「むしろ重要なのは、次の10年も変わらないことだ」との見方も示した。

 その真意は「10年後も変わらないものに対しては、自信を持って取り組める」(ベゾスCEO)ということ。例えばアマゾンの本業であるeコマース(電子商取引)に対する顧客のニーズこそが10年後も変わらないものの代表格で「『ジェフ、アマゾンを愛しているよ。もっと遅く配送してくれないか』とか『もっと値段が高ければいいのに』と顧客が言い出すとは思えない」と語る。アマゾンとして今後も、eコマースのサービス品質改善や価格引き下げに取り組み続ける姿勢を強調した格好だ。


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