アップルは米国時間2019年6月3日に開発者会議「WWDC 19」を開催。基調講演でiOSやmacOSをはじめ、同社デバイスのプラットフォームに関するアップデートを発表した。注目は「iTunesの終了」。混乱も予想されたが、コンテンツ事業者にとっては“好機”になる可能性が高い。
肥大化したiTunesを分割・整理する
最新のmacOS 10.15は、「Catalina(カタリナ)」というコードネームと共に、アップルのクレイグ・フェデリギ氏によって発表された。2012年中期以降に発売されたMacで、今秋以降に予定されるソフトウエアアップデートで利用可能になる。
基調講演ではカタリナで搭載される新アプリケーションや、強化される機能の内容が明らかになった。特に多くのMacユーザーやiPhoneユーザー、コンテンツを供給する音楽関係者にとって関心事は、アップル独自のメディア再生・管理アプリ「iTunes」の提供が終わることだろう。
とはいえ、iTunesが今秋をもって消滅するという話ではなさそうだ。その中身は、01年の登場以来、さまざまな機能を“建て増し”して肥大化したiTunesを、「Apple ミュージック(以下ミュージック)」「Apple ポッドキャスト(以下ポッドキャスト)」「Apple TV(以下TV)」の3つに、ユーザーが使いやすくなるように整理・分割して提供するというものである。
実は日本でも15年夏にアップルの定額制音楽配信「Apple Music」が始まって以来、iPhoneの「ミュージック」アプリで楽しめるサービスが、MacではiTunesの中に組み込まれている。またiOSでは、音楽コンテンツのダウンロード購入は別アプリ「iTunes Store」から行うなど、プラットフォーム間で使い方に齟齬(そご)が生じていた。そこで今回、アプリの名称を「ミュージック」に統一して、ユーザー体験を整理・一本化する狙いがアップルにはあるのだろう。
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