若い女性を中心に一大ブームとなったタピオカドリンク。ミルクティーにタピオカを入れた「タピオカミルクティー」を中心に、抹茶や緑茶を使ったものなどバリエーションも広がっている。そんななか、ポスト・タピオカドリンクとして注目を浴びそうなのが、台湾発のデザートドリンク「チーズティー」だ。
チーズティーは冷たいウーロン茶やミルクティーの上にフォーム状のチーズクリームを載せたもの。クリームだけ味わっても混ぜてドリンクと一緒に飲んでも楽しめるデザートドリンクだ。
そのチーズティーを専門に扱う台湾・台北の人気店「machi machi(マチマチ)」の日本1号店が2019年6月26日、東京・原宿のラフォーレ原宿にオープンする。日本での店舗運営を行うのはアパレル企業・ベイクルーズグループのフレーバーワークスだ。
ラフォーレ原宿店開業に先がけ、19年5月22日〜6月16日まで東京・自由が丘にポップアップショップをオープンしたところ、予想を上回る売り上げを記録した。来店客の8割が女性で、中心となるのは20〜30代。10代の購入も目立った。まさにタピオカドリンクブームをけん引してきた層だ。
「タピオカドリンクに並ぶ列が短くなっている」
マチマチの日本1号店誕生のきっかけは、ベイクルーズが同社スタッフに向けて行った社内公募だった。アパレル、飲食などジャンルを問わず、やってみたいと思う事業を提案するというものだ。今回の事業はアパレル部門に在籍していたニエ・ガンヤン(Nie GuangYan)氏の発案によるもの。だが、最初からチーズティーありきではなかったという。
ニエ氏が表参道の店舗でアパレルスタッフとして勤務していた当時、近隣のタピオカドリンク専門店を観察していたところ、「行列は途絶えないが、だんだん短くなってきているように感じた」(ニエ氏)。タピオカドリンクは人気だが、徐々にブームが落ち着いてきているのではないか。そう考えて、「新しいドリンクの店」を提案した。
当初、オリジナルドリンクを開発するつもりで、台湾にマーケットリサーチに出向いた。その際に偶然出合ったのが、18年秋にオープンしたばかりのマチマチだった。「台湾では約10年前に濃厚なミルクフォームで蓋をする『ミルクキャップ』という手法を使ったドリンクがはやった。マチマチのチーズティーはそのミルクキャップをチーズを使って進化させたもの」(ニエ氏)。同店の味にほれ込んだニエ氏は、マチマチを日本進出させるべく動き出した。
「週1回買える価格」を意識
ベイクルーズは自社開発の飲食ブランドのほかに、ロブスターロール専門店など海外の飲食店を誘致し、日本市場でトレンドを作ってきた。そのため、「タピオカドリンクブームのさなかに新しいドリンクを」という提案も受け入れられやすかった。とはいえ、「チーズティー」という名前だけではイメージが湧きにくい。そこで、台湾からマチマチのスタッフを招いて社内で試飲会を開き、社内の人にも味を知ってもらった。
「味はとても好評だった。ただ、本国はメニューがかなり多かったので、日本展開に当たって数を絞ろうという話になった」(ニエ氏)。
社内で意見を聞きながら、ベーシックなチーズティーやフルーツを使ったもの、“インスタ映え”しそうなボトル入りドリンクを中心にメニューを選定。さらに、原宿店限定や期間限定のドリンクも開発した。
価格を決める際に意識したのは「週1回買える価格」。一般的な飲料と違ってデザートの要素があるドリンクであること、限られた店舗でしか購入できないことなどもあり、毎日飲むドリンクではない。だが、週1回は飲んでもらいたい。そのため、中心価格帯は税別500円前後に設定した。
チーズティーの味を多くの人に知ってもらいたい
今後は半年間で首都圏に3店舗、関西に2店舗をオープンする予定。店舗によって展開する商品が異なる可能性もあり、ポップアップショップではトッピングとしてタピオカを追加することもできる。だが、1号店となる原宿ではタピオカを扱わない。「まずはチーズティーの味を多くの人に知ってもらいたい」(フレーバーワークス)。SNSで注目されているインフルエンサーを集めた試飲会なども行い、クチコミでの拡散を狙う。
(写真/樋口 可奈子)