米アマゾン・ドット・コムは2019年5月31日、アレクサスキルを収益化できる「スキル内課金」の提供を日本でも開始した。18年7月に始まった、人気の高いスキルの開発者に報酬が支払われる「アレクサ開発者リワードプログラム」と合わせて開発者支援を本格化した形だ。
スキル内課金は3タイプある
「アレクサスキル」とは、アマゾンのスマートスピーカー「Echo(エコー)」シリーズで利用するアプリのこと。今回「スキル内課金」が可能になったことで、スキルの利用そのものに課金したり、スキル上で機能やコンテンツなどを販売したりできるようになった。課金によって利用可能になるスキルは「プレミアムスキル」と呼ばれる。
スキル内課金のタイプは3種類。1つは、制限のかかった機能やコンテンツを課金によって利用可能にする「買い切り型」。もう1つは、定期的に課金することでサービスを継続利用する「サブスクリプション型」。3つ目は、ゲームアイテムのような何度も購入できる「消費型」だ。
米アマゾン・ドット・コムのアレクサ事業担当バイスプレジデントのロブ・プルチアーニ氏は「米国では18年の5月にサブスクリプション型、9月に買い切り型と消費型の課金が始まっている。無料の試用期間の終了後、9割の無料ユーザーが課金したスキルもある。月あたり1万ドルを稼ぎ出すスキルも少なくない」と話す。
現在、日本で開発されたスキルは2500ほどあるが、正直に言って“役に立たない”ものも少なくない。しかし、スキル内課金によって収益が上げられるようになれば、開発者のモチベーションも上がり、スキルの品質向上につながる可能性は大きい。
一定の条件をクリアし、かつユーザーからの人気が高いスキルに報酬が支払われる「アレクサ開発者リワードプログラム」も、開発者にとっては励みになる。報酬額はユーザーエンゲージメントの高さなど、アマゾンが定める基準に従って算出されるとのこと。なお、ユーザーエンゲージメントは月単位で評価されるため、報酬の獲得対象者は月によって変わる。
「アレクサの成功はスキルの開発者にかかっている。より楽しく、有用なスキルを開発してもらうために、アマゾンが開発者に対してできることとして、さまざまなツール、サービス、機能を提供している。有用なスキルがたくさん登場すれば、アレクサユーザーのためになる」(プルチアーニ氏)
19年5月31日段階で提供されている「スキル内課金」対応スキルは、スクウェアエニックスの「GEMS COMPANY(ジェムカントーク)、USENの「アリバイチャンネル」、サイバードの「アタック25」、Libalentの「まいにち落語」、アルクの「ENGLISH JOURNAL(イングリッシュ・ジャーナル)」。もちろん、今後もスキル内課金に対応したスキルは増えていく。
(写真/堀井塚高、写真提供/アマゾン)