米企業のビルド・ロボティクスやコンストラクション・ロボティクス、ソフトバンク傘下のボストン・ダイナミクスなどで、建設ロボットの開発が進んでいる。人手で作業してきた仕事をロボットに置き換え、効率化やコスト削減につなげる。
米サンフランシスコを拠点にするビルド・ロボティクスは、ブルドーザーやパワーショベルを自動制御する技術を開発している。既存の機材にライダー(光検出と測距)やGPS、Wi-Fiなどの機能を付加するキットを発売。マッピングや障害物回避、ジオフェンシング(地図上に仮想的なフェンスを設置する技術)などができるようにして、整地業務を自動化する。掘削も可能で、センチメートル単位に現場をソフト上で分割し、穴の形状や深さを指定して作業を進めることができる。
作業員を支援するロボットが現実に
ニューヨーク州を拠点にする米コンストラクション・ロボティクスは「サム」と「ミュール」という2つのシステムを開発した。サムはレンガなどを自動的に積み上げるロボットアーム、ミュールはレンガやブロックを含む建設部材を持ち上げる作業を行うリフトだ。これまで作業員が1つずつ持ち上げていたのを肩代わりし、身体的な重荷を軽減化する。ブロックや木材など同じ部材で自動的に建設するロボットの研究が進んでいるなかで、いち早く市場に投入されている。
工事現場の「監理」に進出しているロボットもある。米ケスプリーや米スカイキャッチが、建設用ドローンのシステム開発を行っており、いずれもシリコンバレーが拠点の企業だ。
ケスプリーは、現場に盛り上げた土砂の量をドローンが数十分で正確に計量する機能を備える。スカイキャッチは、コマツとの提携で知られているが、測量だけでなくAI(人工知能)を利用して現場で行き来する車両を特定したり、人の動きや建設の進捗をモニターしたりする機能がある。視覚的に現場の様子を捉えるだけでさまざまなデータとして蓄積できるため、新たな使い方も期待できそうだ。
工事現場を歩く犬型ロボットも
工事現場の監理に4本足のロボットの利用を進めているのが、米ボストン・ダイナミクスだ。ヒューマノイド型や動物型のロボットを開発する先駆的な会社として知られ、現在はソフトバンクの傘下にある。建設に投入しているのが「スポットミニ」という犬型のロボットで、建物の中を歩き回り、随所で頭部のようなアームを向けて画像を取得。建設の進捗状況の把握を含めたモニタリングを行う。足があることで、階段の上り下りや平らでないフロアを歩き回ったりできるのが利点だ。竹中工務店が18年6月にスポットミニを活用した実証実験を行っており、19年夏以降の本格活用に向けて準備を進めている。
ロボット産業協会のRIA(全米ロボット工業会)によると、建設ロボット市場は2022年までに3億2100万ドル規模になると予想されている。これまで手作業に頼ってきた業界で、今後の影響が注目される。