楽天は過去の資産がないことが強みに

 19年10月の市場参入を予定している楽天傘下の楽天モバイルも、5Gで獲得した周波数帯は3.7GHz帯(3800~3900MHz)と28GHz帯(27~27.4GHz)の2枠となった。また、総務省への申請内容によれば、5Gの商用サービスは20年6月頃と、他社よりやや遅れての開始となる。

 楽天モバイルは、5Gで他社とどのような違いを打ち出すのか。やはり最新の設備をそろえ、5Gの実力を発揮しやすいネットワーク環境を構築することだろう。楽天モバイルの場合、旧来の3社と違って古いネットワーク設備を持たないため、最初から5Gのスタンドアローン運用を開始できるのだ。5Gの特徴を活用するにはスタンドアローンでの運用が欠かせない。その点では、楽天モバイルは早い段階で5Gならではのサービスを提供できることになる。

 しかも楽天モバイルは、全てのネットワーク機器でNFV(Network Functions Virtualization、ネットワーク仮想化)を採用するとしている。これは、ソフトウエアによって汎用サーバーをネットワーク機器として動作させるもので、専用の機器と違って4Gから5Gへの移行もソフトウエアを書き換えるだけで済む。

「MWC 2019 Barcelona」で楽天モバイルの仮想化ネットワークについて説明する、タレック・アミンCTO(最高技術責任者)。過去の資産がないことは、最新のネットワークをいち早く提供できるというメリットでもある
「MWC 2019 Barcelona」で楽天モバイルの仮想化ネットワークについて説明する、タレック・アミンCTO(最高技術責任者)。過去の資産がないことは、最新のネットワークをいち早く提供できるというメリットでもある

 とはいえ、楽天モバイルが自社でサービスを提供できる地域は、当初はかなり限定される。楽天モバイル独自の基盤展開が完了するまでは、ローミングで提携したKDDIのネットワークで多くの地域をカバーするためだ。ネットワーク整備が最優先される楽天モバイルの場合、5Gを活用したサービスの開発に至るまでには少し時間がかかりそうだ。

楽天モバイルにとっては、5Gのサービスよりも携帯電話会社としての基盤作りが課題。実店舗数は2019年5月時点で500店舗と、先行する3社にははるかに及ばない
楽天モバイルにとっては、5Gのサービスよりも携帯電話会社としての基盤作りが課題。実店舗数は2019年5月時点で500店舗と、先行する3社にははるかに及ばない

(写真/佐野正弘)