ソフトバンクは既存の周波数帯に活路を見いだす

 一方ソフトバンクは、3.7GHz帯(3900~4000MHz)と28GHz帯(29.1~29.5GHz)の2枠の割り当てにとどまった。その理由は5年以内の5Gの基盤展開率。ドコモとKDDIが90%以上だったのに対し、ソフトバンクは64%と低かったことが影響した。

 割り当てられた帯域が少ないと高速化などで不利になるが、それでもソフトバンクが他社より低い基盤展開率を提出したのには2つの理由がある。

 1つは既存周波数帯の活用だ。今回5Gで割り当てられた周波数帯は、4G以前に割り当てられた周波数帯よりも高周波数であるため、電波の特性上、遠くへ飛ばしにくい。高い基盤展開率を実現するには数多くの基地局を設置する必要があるわけだ。ソフトバンクは、将来的に3Gや4Gで使用している周波数帯を5Gに転用することで、コストを抑えて5Gのエリアを広げる考えとみていい。

 もう1つは、ソフトバンクは基盤展開率ではなく人口カバー率を重視している点だ。同社の宮内謙社長 執行役員兼CEO(最高経営責任者)が19年5月8日の決算説明会で「早期に人口カバー率90%以上にしようと思っている」と発言したことからも、5Gでも人口が多く投資効率のいい都市部に重点を置く狙いがうかがえる。

ソフトバンクは5Gの「基盤展開率」ではなく、「人口カバー率」を早期に90%以上にしたいとしている
ソフトバンクは5Gの「基盤展開率」ではなく、「人口カバー率」を早期に90%以上にしたいとしている

 この2つの理由から見えてくるソフトバンクの狙いは、都市部でのIoTビジネスの拡大だ。同社が獲得した周波数帯の数では、高速・大容量という点でドコモ、KDDIに及ばない。ソフトバンクは低遅延や多接続といった5Gの特徴を重視し、都市部の大口顧客を中心に、IoTを軸とした法人向けソリューションの提供に注力すると考えられる。

ソフトバンクは5GでIoTを活用した法人ソリューションの拡大を進めるべく、さまざまな実証実験を進めている
ソフトバンクは5GでIoTを活用した法人ソリューションの拡大を進めるべく、さまざまな実証実験を進めている

 ソフトバンクも他社と同様、19年9月にプレサービス、20年3月に商用サービスを開始するが、エリア展開とビジネスの方向性に関しては、ドコモ、KDDIと大きく異なる可能性が高い。