ポイント本部負担で加盟店の利益を減らさず、メリットも

 実はローソンは以前から食品ロス削減への取り組みを行っている。15年に導入した「セミオート発注」はAI(人工知能)を活用し、過去の販売データから需要と供給のバランスを合わせた量を翌日に発注するという仕組み。ただ、「ぴったりバランスを合わせるのは難しく、どうしても廃棄が出てしまう」(竹増社長)。

 ほかにも鮮度管理の徹底で販売時間を延長し、「より長く高品質の商品を提供できるようにした」(竹増社長)。18年は常温のパック総菜や唐揚げなどの店内調理品を対象に「売り切りオペレーション」を実施した。出来たての商品を店内で声掛けするなどのコミュニケーションをしたり、賞味期限切れが近づいたものを値引きしたりして、19年3月の廃棄高は前年比で約2割削減できたという。

 今回の新施策は、複数の加盟店から「おにぎりや弁当の廃棄を減らすためのローソンらしいアイデアを本部から出してほしい」と要望があったことがきっかけ。より新しい商品を後ろから取ったりする顧客が多いことが、おにぎりや弁当の廃棄が増える要因になっているという。

 Another Choiceの特徴は値引きではなくポイント付与にしたこと。単純な値引きのほうが浸透しやすいように思えるが、それでは加盟店の利益を圧迫することになる。追加ポイント分も本部が負担することで、加盟店の利益を減らすことなく顧客に還元できるため、「加盟店が参加しやすい取り組みだ。地球、街、子供に加えて加盟店にも優しい」と竹増社長は強調する。「廃棄した食品のコストは加盟店だけでなく本部も負っている。ポイントや寄付金を負担しても、新施策への理解が進むにつれ、うまく回っていく仕組み」(竹増社長)。

 具体的な目標数値は設定しない。「今のオペレーションを崩さずどれだけ理解をしてもらえるかを見る」(竹増社長)と、顧客への浸透を優先させる考えを示した。

店内で「Another Choice」のシールを貼ったおにぎり、弁当が対象になる
店内で「Another Choice」のシールを貼ったおにぎり、弁当が対象になる

 実証実験エリアの判断理由は、沖縄は1人親世帯の多さ。一方、愛媛は12年に包括協定を提携し、西日本豪雨に被災したときも、地元食材を使った義援金付き商品を販売したり、義援金を募ったりと縁が深いため。さらに「19年末には官民が協力した子育て支援事業『子育て応援ファンド』(仮称)が立ち上がる」(中村時広・愛媛県知事)こともあり、子供への支援を推進したいローソンから声を掛けた。

 竹増社長は子供への支援について、「支援団体への寄付にとどまらず、自分たちでこども食堂を運営したりなど、いろんな形を模索していきたい」と意欲を見せた。

中村時広・愛媛県知事。愛媛県では、ユニ・チャーム、大王製紙、花王大手紙おむつメーカー3社が、本社や工場があることを理由に、2人目以降は紙おむつを無料配布するなど官民連携で子育て支援を実施している
中村時広・愛媛県知事。愛媛県では、ユニ・チャーム、大王製紙、花王大手紙おむつメーカー3社が、本社や工場があることを理由に、2人目以降は紙おむつを無料配布するなど官民連携で子育て支援を実施している

 大きな問題になっているコンビニの消費期限切れ食品の廃棄。セブンーイレブン・ジャパンも同日、消費期限の近づいた食品を購入すれば5%分のポイントを提供すると発表した。対象はおにぎり、弁当、パン、総菜など数百点で、19年秋から国内の全2万925店(4月末時点)で始めるという。

 ローソンは食品ロス削減の対策に子供の貧困というテーマも組み込んだ新施策で、「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」という企業理念の実現を目指す。

店内でのコミュニケーションのほか、沖縄と愛媛では地域CMでも訴えるという
店内でのコミュニケーションのほか、沖縄と愛媛では地域CMでも訴えるという

(写真提供/ローソン)