LINEが「LINE Pay」の登録ユーザーを短期間で拡大させるために大型キャンペーンを仕掛ける。「祝令和全員にあげちゃう300億円祭」は、1000円相当の「LINE Payボーナス」を「LINE」の「友だち」にプレゼントできるというもの。期間は2019年5月20日から29日までだが、300億円に達した時点で終了になる。
祝令和全員にあげちゃう300億円祭は、自分の懐がまったく痛まない300億円の山分けキャンペーン。LINE Payの送金機能を利用するので、キャンペーンに参加するにはユーザー登録が不可欠となっている。国内で約8000万人のユーザーがいるLINEに対し、LINE Payのユーザーは約3200万人と、まだ半数以下。今回のキャンペーンで登録ユーザーを一気に増やしたい考えだ。
送金方法は、キャンペーンのページで「無料で1,000円相当を送る」をタップし、「友だち」を選んで送るだけ。送金できる友だちの人数に上限はないが、受け取れるのは1人1回のみ。送られたLINE Payボーナスは、ローソンやスターバックス、ビックカメラなど100万を超えるLINE Pay加盟店での決済に利用できる。
課題だった本人確認を簡素化
今回のキャンペーンを可能にしたのが、19年5月から提供が始まった「かんたん本人確認」だ。キャンペーンに参加するためにはLINE Payのユーザー登録と本人確認の手続きが必須となっているが、従来は銀行口座とのひも付け、または郵送による本人確認しか方法がなかった。LINEによれば、そのことが送金サービスを利用する際のハードルになっていたという。
ところが、18年11月の犯罪収益移転防止法施行規則が改正されたことで、オンラインで完結する本人確認が可能になった。「かんたん本人確認」では、スマートフォンと写真付きの身分証(運転免許証、日本国政府発行のパスポート、マイナンバーカードなど。学生証は不可)さえあれば、最短数分で手続きが完了する。
気になるのは、運転免許証やパスポートは中高生でも持てるという点だ。10代の少年少女には1000円という金額は、決して小額ではない。これについてLINEの舛田淳取締役CSMO(最高戦略・マーケティング責任者)は「LINEサービスの利用でポイントが付くことを考えれば問題ない金額。コンビニなどでの買い物にも使えるので、むしろ中高生にもスマホ決済を利用してほしい」と話す。
「現金もスマホ決済もできるというのは、小売店にとって負担になってしまう。その意味では、中途半端に現金対応するより完全キャッシュレスになったほうがいい」(舛田氏)
舛田氏はまた、「送金機能は、親が子供に小遣いを渡すときなどにも使える。子供がどんなふうに小遣いを使ったかの履歴が残るのもメリットになる」と話す。LINEが目指しているのは、子供から大人、年配者までがスマホ決済を利用する完全キャッシュレス社会だ。
(写真提供/LINE、LINE Pay)