健康への貢献を目指す企業と積極的に連携

 キリンには免疫研究の成果を自社にとどめず、外部企業に活用してもらうほか、製品の共同開発などで広く健康を届けようという考えもある。

 現在、ヤフー、ジェネシスヘルスケア、カンロなどを含めた複数の企業と連携している。ヤフーでは健康経営を実現するため、プラズマ乳酸菌入りの製品を摂取してもらい、社員の労働パフォーマンスの向上の検証をしている。遺伝子検査会社のジェネシスヘルスケアとは、診断を通じた健康増進が大きくなると予測し、肌検査キットとイミューズ商品の協働の取り組みを開始。また、カンロとはコラボ商品の開発を行い、グミにプラズマ乳酸菌を配合した「ピュレサプリグミ iMUSEプラズマ乳酸菌」を4月2日に発売した(関連記事「乳酸菌とグミは好相性、キリンとカンロが30代女性を狙う新商品」)。

カンロとコラボした「ピュレサプリグミ iMUSEプラズマ乳酸菌」
カンロとコラボした「ピュレサプリグミ iMUSEプラズマ乳酸菌」

 特にiMUSEブランドはヘルスサイエンス事業の中核を担う素材として期待されている。19年4月25日には、230億円達成に向け「iMUSE ヘルスサイエンスファクトリー」を小岩井乳業東京工場内に設立した。実はこれまで乳酸菌は社内で作れず、外部調達していたという。「工場新設で生産を社内で賄えることになり、今の3倍の乳酸菌を製造できる見込み」(佐野氏)。

今後の成長に向け、ECも強化

 今後は国内にとどまらずグローバル展開も目指す。東南アジアで健康に関する社会課題が顕在化していることに注目し、19年6月に研究拠点を開設する予定だ。現地のさまざまな研究機関と協力してその地域の課題を把握し、貢献方法を見つけ出す。また具体的な時期は未定だが、健康管理意識の高い消費者が多い北米を中心に、サプリメントなどを販売していくという。

 その他、プラズマ乳酸菌やKW乳酸菌に加え、3つ目の新素材を研究中だ。「いろいろな会社から乳酸菌製品が出てきており、世間の乳酸菌自体の認知度が非常に高くなっている。そうなると、消費者がどの乳酸菌を摂取しようかと選ぶステージになる。我々の強みは、研究に裏付けされたエビデンスのある乳酸菌であること。一過性の商材にはしたくないので、消費者に健康を届けるという同じ思いを持つ企業とは積極的に協働し、商品やサービスを展開していきたい」と佐野氏は意気込む。

 ヘルスサイエンス事業の成長に向け、グループ独自素材の活用やECサイトの強化、海外展開など、キリングループの協和発酵バイオを事業の中核に据えて、双方の強みを最大化していく考えだ。特にECについて調査したところ、健康情報に関してユーザーが検索しているときは、「今、その商品が欲しい」と思っている場合が多く、既に購買意欲が高まっていることが分かった。「キリンにもECサイトがあり、協和発酵バイオにも顧客が付いている健康サイトがある。ほかにもAmazonなどユーザー情報とひも付いたサイトがあるので、EC展開をする方法はたくさんある。お客が一番つながりやすいチャネルを調査して決めていくつもりだ」(佐野氏)。

(画像提供/キリンホールディングス)