調査会社の矢野経済研究所(東京・中野)は、先進運転支援システム/自動運転システムを搭載する自動車の普及台数に関する予測結果を発表した。レベル1以上の運転支援システムを搭載した自動車の数は、2030年までに8249万9000台に達するという。
2030年、自動運転対応車両は8249万9000台に達する
近年、自動車メーカー各社が開発にしのぎを削っているのが電気自動車と自動運転だ。矢野経済研究所が2019年5月8日に発表した「自動運転システムの世界市場に関する調査」によれば、先進運転支援システム(ADAS)/自動運転システム(ADS)を搭載する車両の数は、2030年までに8249万9000台に達するという。
18年の世界市場におけるADAS/ADS搭載車の数は、前年比24.3%増の2385万4000台。自動運転のレベル別に見ると、自動ブレーキや衝突警報などの機能を搭載するレベル1が2114万8000台で市場全体の88.7%を占める。
加速・減速とハンドル操作を自動化したレベル2の新車は270万4000台で、日本と欧州のメーカーを中心に高級車から中級車まで車種が広がっている。現状は車線維持支援(LKS)と車間距離制御(ACC)を組み合わせて車線中央を自動走行する機能が中心だが、高級車では運転者の指示器操作による自動車線変更や、運転者の降車後に鍵やスマートフォンで遠隔操作して自動駐車ができるリモートパーキングなどが実用化されている。
25年になると、レベル1の需要の中心は日米欧州、中国からインド、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国などの新興国に移り、台数ベースではやや減少。30年の予測は1274万5000台にとどまる。
20年以降に最も成長するのがレベル2だ。レベル2+に該当するADSについては、米ゼネラル・モーターズ(GM)が17年から運転者監視システム(DMS)、高精度地図(HDマップ)を使った高速道路限定の手放し運転機能を採用している。18年段階でレベル2+の搭載車両を量産しているのはGMのみだが、20年に向けて日米欧州、中国市場の高級車を中心に拡大すると考えられ、23年にはレベル2とレベル2+の合計がレベル1を上回る見込み。30年には5072万4000台で市場の36%を占めるとの予測だ。
レベル3については、25年以降、レベル4とのシステムコスト差が縮小することから、高級車を中心にレベル4(高速道路限定)への切り替えが進む。そのため30年段階の台数ベースでは横ばいにとどまるとみられる。
レベル4以上については、日米欧州、中国において20年からカーシェア/ライドシェア、公共交通、物流などで試験的利用が始まり、23、24年ごろの実用期間を経て、25年から拡大しそうだ。
特に中国においては、ICV(Intelligent Connected Vehicle、インテリジェント・コネクテッド・ビークル)の技術開発と普及を政府が支援しており、V2X(車々間・路車間通信)のテストが始まっている。このため、25年以降は中国におけるレベル4の需要が伸びるとみられ、レベル4、5を搭載する新車の数は、25年に179万5600台、30年には1530万台に達する見通しだ。
(画像提供/矢野経済研究所)