家具・雑貨店を展開するFrancfranc(フランフラン、東京・渋谷)は2019年4月20日、家具の新ブランド「MODERN WORKS」を発表した。新ブランドで顧客拡大を目指す同社は、南青山にキャッシュレス専門店もオープン。人件費削減などローコストオペレーションにも力を入れる。
新ブランド投入で新規顧客層の獲得を狙う
雑貨とインテリアのイメージが強いFrancfrancが、多様化する日本の住環境とライフスタイルに最適なサイズの家具に特化したブランド『MODERN WORKS』を発表した。
同社マーケティングコミュニケーション部部長の大﨑順一郎氏は「Francfrancはもともと家具のブランドとして立ち上げているので、改めて『今の時代に合う家具は何か』ということから考え直したのがこのブランド。今は値段の安い家具からデザイナーが手掛けた高い製品まで、幅広くそろっている。その中で『ちょうどいいものとは何か』という問いがブランドを立ち上げる1つのモチベーションになった」と説明する。
またFrancfrancが若い女性を狙っているのに対し、MODERN WORKSではより高年齢、高所得の層をターゲットに設定しているのもポイントだ。
「基本的には30~40代、世帯収入で言うと800万~1000万円くらいのミドル層をターゲットにしている」(Francfrancモダンワークス部部長の井上和亮氏)。また大﨑氏は、MODERN WORKSの顧客層について「(ブランドとしての)Francfrancでは25歳の女性を狙っているが、それとは違うお客様に新しい提案をしていくのが狙いの1つ」と語る。
すでに多様な選択肢がある家具・インテリア市場だが、「MODERN WORKSは男性・女性を特に意識せず、どちらも買ってくれるようなテイストにしている」(大崎氏)と自信を見せる。その根拠について井上氏はこう説明する。
「MODERN WORKSでは『デザイン・クオリティ・プライス』という3つの軸のバランスがとれた家具を提供する。イタリアのメーカーだと1点100万円という製品も当たり前だが、MODERN WORKSでは20万円を切っている商品が多い。安さを売りにする他社と比べても、デザイン面ではまだまだ我々のほうにアドバンテージがあると考えている」
青山に完全キャッシュレスの店舗をオープン
FrancfrancはMODERN WORKSの発表に併せ、同ブランドの専門店として19年4月20日に東京都港区の青山通り沿いに「青山店」、同4月23日には横浜市西区に「みなとみらい東急スクエア店」をオープンした。
表参道の交差点から徒歩5分足らずの青山通り沿いにある青山店には、入りやすさを演出するため倉庫風のインテリアを採用。さらに支払いに現金を使わない“キャッシュレス決済専門店”となっている。
青山店で商品を購入した際の代金の支払いは、クレジットカードや電子マネーで決済する。さらに店内の商品POPに記載された2次元バーコードを読み込んで、FrancfrancのECサイトにアクセスして、そのままオンライン上で購入・決済することも可能だ。
キャッシュレス決済にしたことで、店舗や顧客にはどのようなメリットがあるのか。
「クレジットカード決済では店舗からカード会社に払う手数料などもあるが、それを考えても(キャッシュレス決済だとオペレーションが)大変楽になる。青山店は路面店のため、現金回収や警備にあてるコストを考えれば、カード決済のほうがメリットが大きい。さらにキャッシュレスにしたことで人件費が2~3%カットできた」(井上氏)
顧客側にとっては、クレジットカードや電子マネーでの決済によって、カード会社などのポイントを獲得できるというメリットもある。
同社にとって、キャッシュレス決済店舗の実施は今回で2度目。初導入は18年9月に始まった企画「ROOM COSME」で、期間限定でオープンした代官山のポップアップ店だった。その際、「お客様からネガティブな反応はなかったため、キャッシュレスでもいけるという手応えをある程度つかめた」(大﨑氏)。この経験があったからこそ、新ブランドながら今回の青山店での実施に踏み切れたわけだ。
MODERN WORKSに関して今後の出店計画は未定だが、店舗のキャッシュレス化やECサイト販売には力を入れていくとのこと。「(店舗をショールーム化して)EC専門でやるのがヨーロッパのトレンドになりつつある。それを考えると、店舗はキャッシュレスでやっていくのがいいかもしれない」(大﨑氏)。
新ブランド投入で新しいマーケットを狙うFrancfranc。キャッシュレス決済でよりストレスのないショッピング体験を提供できれば、顧客層拡大にも一役買いそうだ。
(写真/酒井 康治)