“ガンダム人生”が続く連続コンテンツ

そうしたガンダムを好きだった人の掘り起こしが、コンテンツを続けていくうえで大事なのでしょうか。

浅沼氏 どのファンも大事だと思います。面白いのは、40年も続いていると、子供の頃にその時代のガンダムを見て育った人たちが、会社の中でさまざまな役職に就いていたりするんです。

 そうなるとコラボやタイアップの話がスムーズに進みやすいんです。最近のアニメとのコラボ商品を社内で企画しても、役職に就いている人に説明するのはちょっと難しいかもしれません。しかしガンダムシリーズだと企画担当者から課長や部長といった人まで、それぞれ子供の頃に放送していたガンダムを経験しているので、企画を立てやすいし、説明したときに“ああ、あのガンダムだね”となって話が進みやすい。そして、こちらから特に働きかけなくても、いろいろな企画が次々と持ち込まれてくるんです。社長が考えた、社長が好きで決めた、といった企画も多くあります。これは長年続いてきたからこその強みだし、ありがたいことだと思います。

コンテンツを長く続けるにはユーザーの入れ替わりに気を配る必要があります。それについてはいかがでしょうか。

浅沼氏 子供が成長に合わせてどんな道を通っていくかを、我々はずっと見てきました。まず未就学児だと“戦隊もの”や“仮面ライダー”が好きになります。それを卒業するとゲームに興味が移ってきて、同時にこの頃からガンダムが好きになり、長い“ガンダム人生”が始まります。

 ガンダムにはいくつもの映像作品があり、たくさんのグッズがあり、いろいろなコラボがあります。ガンプラだけを見ても簡単なものから高価で作るのが難しいものまであり、一度その道に入るとなかなか終わりがありません。奥が深いんです。ガンダムを卒業して他のことに興味が移る人ももちろんいますが、その割合が他の作品に比べて少ないと思います。

 そして卒業したかな、という人が戻ってくることも多いんです。普段は積極的にアニメを見るわけではなく、ガンプラもチェックしていないけれど、『機動戦士ガンダムNT』(18年、映画)のポスターなどを見て“何だこれは? ニュータイプの話?”となり、映画館に足を運んでくれたり、久しぶりにガンプラを店頭で手に取ってくれたりする人もいます。ガンダムは、そうした“心の中にずっと住み着いている”感が非常に強いコンテンツだと思います。

 そうしたユーザーの掘り起こしは、グッズの提供、キャッチーな話題の提供、人気のある作品の続きなどです。動く実物大ガンダムを作るという話題が出て、“何だそれは?”と思ってもらうことが掘り起こしにつながります。

「ガンダムを世界中で誰もが知る存在にしていきたい」と話すサンライズ社長の浅沼誠氏
「ガンダムを世界中で誰もが知る存在にしていきたい」と話すサンライズ社長の浅沼誠氏

アジア圏に広がるガンプラブーム

ガンプラ売り場に行くと海外からの観光客の姿をよく見かけます。海外での展開について教えてください。

浅沼氏 ガンプラの売り上げでいうと、海外の比率が3割を超えてきています。日本以外だと盛り上がっているのはアジア、特に中国です。昨年、上海に「ガンプラ」のオフィシャルショップを開設しましたが、大変好調です。

 アジア圏に比べてまだ認知度が低いのですが、北米と欧州でも取り組んでいます。大きいのは18年に公開されたスティーブン・スピルバーグ監督の映画『レディ・プレイヤー1』にガンダムが登場したことです。ハリウッドメジャー作品にガンダムが出るなんて、それこそ40年前には考えられなかったことで、ガンダムが広く世界に知られるきっかけになります。

 そしてハリウッドで実写映画の制作が進んでいます。『名探偵ピカチュウ』や『GODZILLA ゴジラ』などを手がけてきたレジェンダリー・ピクチャーズとの共同制作です。マーベル作品クラスの劇場公開をして知名度を上げ、それに合わせて商品展開をしていければと考えています。

世界でマーベル作品に並ぶ存在に

ガンダムというコンテンツを、これからどうしていきたいという考えはありますか?

浅沼氏 ガンダムはまだまだグローバルでメジャーなコンテンツではありません。指標にしているのは『アイアンマン』などのマーベルの作品です。アイアンマンは世界中で映画が公開され、知られています。ガンダムもそうした、世界中で知られるような存在になっていければと思います。例えば、海外のスーパーでガンダムの菓子玩具が普通に売られているような。

 2020年の東京オリンピックは世界中が日本に注目し、来日する人が大勢いる、大きなチャンスです。そこで旅の目的として、おすしが食べたい、富士山が見たいといったことと並んで“動く実物大ガンダムを見たい”が入ってくるようになってほしい。京都に行く前に横浜に寄ってガンダムを見ていこう、といった感じですね。

(写真/菊池くらげ)