日本やアジアがチョコレートのトレンドセッターに

 キットカット全体の市場も拡大している。18年の年間売り上げは、10年と比べて1.5倍以上に増加。またキットカットは数あるチョコレートのブランドの中でも、単一のブランドとして最も国内シェアが大きい。ネスレ日本によると、他社は1社で複数のブランドを販売しているが全体の売り上げはほぼ互角とのこと。つまりキットカットは「日本で一番売れているチョコレートブランド」というわけだ。それを支えているのが、通常の期間限定商品や今回のご当地キットカットのような取り組みだ。

 ラクロワ氏は、「これまでチョコレートの世界トレンドは北米や欧州発が多かった。しかし今はアジア、とりわけ日本が発信地だ」と明言する。数年前から海外では和食ブームが起こっており、抹茶やすし、日本酒が人気だ。特に抹茶は海外でのニーズが高まっており、日本で販売されていた抹茶味のキットカットが海外でも高評価を得ている。それを受け、19年春から欧州でも抹茶味のキットカットの生産が始まった。

 カカオ由来の鮮やかなピンク色をした「ルビーチョコレート」も、日本発で世界に発信された商品だ。世界的に人気を博しており、抹茶、ルビーともに世界25の市場で展開されている。「日本がトレンドの台風の目になっていると感じている」(ラクロワ氏)。

 キットカットの場合、日本の消費者が喜ぶものは海外の消費者からも好まれるという。そのため、まずは日本の需要に対応できる体制を作り、日本の消費者に満足してもらえる製品作りを心掛けていく方針だ。ラクロワ氏は「12年から5年間で売り上げが50%増加しており、良い成果を遂げているので、これからは海外でも成長していきたい」と意気込む。

 ネスレ日本は今後、ご当地シリーズをはじめ地方を応援していくという。

 1958年からキットカットは、“Have a break, Have a KitKat.”というスローガンを掲げ、受験生の験担ぎのラッキーアイテム・大切な人に応援や感謝の気持ちを伝えるツールとして定着している。そもそも「Break」には手で「割る」ブレイクと、手を止めて「休む」という2つの意味が込められており、発売当初は受験生のストレス緩和(心のブレイク)にという狙いでプロモーションを展開していた。ところがその後、「きっと勝つ」というイメージが顧客の間で広まり、誰かを「応援する」という文脈までブランドのリーチが拡大したという背景がある。

 井上氏は「今は地方を応援しようという方向にも拡大してきている。一緒に製品開発をした中田さんと協力して、地方を盛り上げられるような取り組みをしていきたい」と話す。

 現在、中田とのコラボ商品を開発しており、新フレーバー展開も思案中とのこと。今後の新商品に期待したい。

AI診断を試してみると、「キットカット 梅酒 鶴梅」と和歌山県の「紀土」という日本酒の組み合わせになった。麹(こうじ)の香りが際立つ甘いチョコレートに、ドライですっきりとした味わいの日本酒がよく合う
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