定食店「大戸屋ごはん処」を、国内・国外合わせて約460店舗運営する大戸屋ホールディングス(HD)。同社が現在、力を入れているのが宅配だ。2019年4月18日に行われた事業戦略発表会で、すでに提携済みのデリバリー代行業2社に加え、4月23日から楽天デリバリーと手を組むことを明らかにした。
大戸屋HDは2017年からデリバリー代行業者と手を組み、弁当の宅配を行っている。現在は東京近郊や京都、福岡の96店舗で「ウーバーイーツ」と、東京エリアの49店舗で「ファインダイン」を運営するライドオンエクスプレスホールディングスと提携。いずれも好調だ。
「宅配は前年比120%の伸び率。需要はこれからも増える」と同社の窪田健一社長は話す。
宅配需要が増加した理由として、窪田社長は共働き率や高齢者、単身者世帯の増加など、社会環境の変化を挙げる。だが、提携先を増やし、宅配をさらに強化する背景には、窪田社長が会見で口にした「軽減税率制度」も大きく関わっているようだ。
19年10月から実施される軽減税率制度では、消費税率が10%に引き上げられた後も、飲食料品や新聞などは例外的に8%に据え置かれる。外食やケータリングは除外されるが、テークアウトや出前であれば適用される。「店で食べれば10%だが、デリバリーなら8%」というのであれば、価格にシビアな消費者はデリバリーを選択する可能性がある。
課題は提供できるエリアが限られていること。大戸屋HDは全国に店舗を展開するが、既存の対象エリアは東京や大都市圏が中心。そのため、大戸屋HDが宅配を行っていることを知らない人もいるだろう。今後はさらに認知度を高め、積極的に提供エリアを拡大していく必要がある。