ワーケーションで商談件数が20%増

 国内でもワーケーションを推進する動きは広がっている。中でも和歌山県白浜町は、国内におけるワーケーション先進地域だ。

 同県の南紀白浜空港から車で5分、海岸まで1キロほどの場所に、「白浜町第1ITビジネスオフィス」がある。同施設は、白浜町が、ワーケーション用の仕事環境として、04年に開設した。ここがIT企業などの利用で満室になったため、18年6月に町営の平草原公園内に「白浜町第2ITビジネスオフィス」を開いた。こちらは空港に近い高台にあり、白浜町の街並みや紀伊水道を一望できる。

和歌山県白浜町にある「白浜町第2ITビジネスオフィス」
和歌山県白浜町にある「白浜町第2ITビジネスオフィス」
三菱地所がテナント企業向けに開設したワーケーション用オフィス「南紀白浜ワーケーションオフィス」
三菱地所がテナント企業向けに開設したワーケーション用オフィス「南紀白浜ワーケーションオフィス」

 ワーケーションの普及は地域活性化につながるとして、和歌山県と白浜町は一体となって、企業誘致や環境整備に取り組んでいる。その効果で、和歌山県内では17年4月から18年2月末までに、把握できただけで24の企業・団体、延べ240人がワーケーションを実施した。

 米国のセールスフォース・ドットコムの日本法人は、15年、第1ITビジネスオフィスにサテライトオフィスを開設し、テレワークに近い形でワーケーションを導入している。これまでに延べ100人程度が利用した。ここでは、同社インサイドセールス部門の社員が東京から訪れ、3カ月間働き、電話やメールを使って営業活動をしている。同オフィスで働く社員は、オフィスに近い場所に居住することで通勤のストレスから解放され、休日には海岸や温泉でのレジャーを楽しめることから、仕事のモチベーションが上がったという。また、東京で同様の作業をするのに比べて商談件数が20%増えるなど生産性も向上した。

 三菱地所は、第2ITビジネスオフィスの1区画を借り上げて、同社が東京・丸の内などで運営するオフィスビルのテナント企業向けに、ワーケーション環境を提供するサービスを19年5月から開始する。ワーケーションに加えて、短期研修のニーズもあると見ている。

 ワーケーションが注目される背景には、19年4月1日に施行された「働き方改革関連法」がある。社員に毎年5日以上の有給休暇の取得させることが企業に義務付けられた。企業が、ワーケーションを導入することで、社員がこれまでよりも柔軟に休暇を取得できるメリットがある。

 ワーケーションには、休暇と仕事の境目が不明確になりかねないという課題はあるが、普及によって休暇と仕事の在り方は大きく変わる可能性がある。