中堅コンビニのポプラが、バーコードをスキャンすることなく、商品を画像認識で識別して会計できる無人レジを実戦投入。昼休みなどレジが混み合う時間の処理能力が3倍にアップするほか、直面する人手不足問題の解消にもつなげる狙いだ。

4月12日から「生活彩家 貿易センタービル店」で2台が稼働を始めた
4月12日から「生活彩家 貿易センタービル店」で2台が稼働を始めた
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 人手不足に悩むコンビニ業界の“救世主”になるか――。客が品物を台の上に置くだけで品物を自動認識し、会計までできる画像認識無人レジがついに実店舗にお目見えした。4月12日から中堅コンビニチェーンのポプラが東京・浜松町で運営する「生活彩家 貿易センタービル店」で実際の運用を始めた。

 導入されたのは、サインポスト(東京・中央)が開発した「ワンダーレジ」。同社はJR東日本スタートアップと組んで「Amazon Go」型のレジレス無人決済店舗の実証実験に取り組んできた。(関連記事「JR東がAmazon Go型キオスクに本腰 子会社通じ専門会社設立へ」)今回導入されたワンダーレジは、店舗そのものを無人化するソリューションではなく、レジのみを無人化するもの。「初期導入コストは1台当たり100万円以下」(サインポストイノベーション事業部の波川敏也・AIレジ部長)と、比較的導入しやすいコストとなっている。

既存の有人レジと併存する
既存の有人レジと併存する
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ユーザーを限定した実証実験から一歩踏み出す

 ワンダーレジはこれまで、電気通信大学の生協やJCBの社員向け店舗などで実証実験が行われてきた。(関連記事「無人のレジで買い物新体験、商品の映像を認識して自動精算を実現」)しかし、不特定多数の客が利用できるのは、この生活彩家 貿易センタービル店が初だ。これまでの実証実験店舗と比べると、品数も利用客も格段に多く、実用化の段階に足を踏み入れたといえる。

 同店はオフィスビルの地下にある小型店舗で、総アイテム数は3000ほどと少なめ。無人レジで取り扱うのは、そのうち食品と飲料の約1500アイテムだ。食品の中には、弁当なども含まれる。弁当は具材の盛り付けに微妙なばらつきがあるが「事前に複数のパターンを読み込ませることで、問題なく認識できる」(波川氏)。表面を覆う透明ラッピングにより、光の反射でパッケージが読み取りにくかったカップラーメンなども、認識精度が上がっているという。ただ、ペットボトルは必ず横に寝かせて置かなければならない。立てて置くとキャップしか読み取れず、商品の違いが判別できないためだ。

商品は5点ほど同時に読み取れるが、重ねて置かない、横に寝かせるなどの注意点がある
商品は5点ほど同時に読み取れるが、重ねて置かない、横に寝かせるなどの注意点がある
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数秒で商品が認識され、そのまま会計へと進める
数秒で商品が認識され、そのまま会計へと進める
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レジ上部のカメラで商品の形状や柄を認識している
レジ上部のカメラで商品の形状や柄を認識している
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 年齢確認が必要な酒類にも対応。酒類が台に置かれた場合は、店舗スタッフが持つスマホアプリに通知が行き、スタッフが購入者の年齢を確認して承認する仕組みをとる。

 雑貨類が対象から省かれたのはなぜか。ポプラ関東地区本部長の上野雅弘氏によると、「例えば下着の場合、MサイズとLサイズの見た目はほぼ同じ。違いはサイズ名くらいだが、画像認識では文字情報を読み取っているわけではないため、判別できない」からだという。

 またコンビニはアイテム数が多いだけでなく、入れ替わりが激しいのも特徴。そのため、1週間に1回ほど、新商品をポプラからサインポストに送り、画像を登録するという。また試験導入の段階のためポプラのPOSシステムとはつながっておらず、価格情報などもサインポスト側で入力している。

年齢確認商品を識別すると、年齢確認のボタンが表示される
年齢確認商品を識別すると、年齢確認のボタンが表示される
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年齢確認のボタンが押されると、店舗スタッフのアプリに通知が来る。対面での確認を経て、決済に進める
年齢確認のボタンが押されると、店舗スタッフのアプリに通知が来る。対面での確認を経て、決済に進める
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大手コンビニとの“直接対決”避けるポプラ

 大手に先駆けて画像認識無人レジを導入したポプラの狙いは何か。同社は大手との競合が少ない企業や学校、病院内など「限定立地店舗」の展開を推進中。こうした店舗では、朝の始業前や昼休みなど特定の時間に利用客が集中する傾向だ。ピーク時にはレジ待ちの長い列ができることもあり、会計のスピードアップが急務。画像認識無人レジは、最大5アイテムを数秒で認識できるため、「点数にもよるが、店員がバーコードを1点1点読み取るよりも時間が3分の1程度に短縮できると期待している」(ポプラの上野氏)。

オフィス街に立地し、さまざまな弁当をとりそろえる同店。ピーク時間帯の混雑緩和が期待される
オフィス街に立地し、さまざまな弁当をとりそろえる同店。ピーク時間帯の混雑緩和が期待される
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 決済手段は今のところSuicaなどの交通系ICカードのみ。同店での決済手段で最も使われていることから選ばれた。今後対応する電子マネーは増やしていく予定だが、会計スピードの向上を第一の目的に置いているため、手間のかかる現金の取り扱いなどは考えられていないようだ。

 画像認識無人レジが導入されるのは、まずはこの1店舗だけ。当面は購入客の反応やオペレーションの検証を進めていくという。コンパクトながらも多様な商品を取りそろえるコンビニでの画像認識が実用の域に達していると証明されれば、さまざまな小売店舗への横展開が容易になるだろう。

「世界初の無人AIレジ」をうたう同店。都営地下鉄大門駅と東京モノレール浜松町駅との連絡通路に面しており、国内外からの客の注目も集めそうだ
「世界初の無人AIレジ」をうたう同店。都営地下鉄大門駅と東京モノレール浜松町駅との連絡通路に面しており、国内外からの客の注目も集めそうだ
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