経産省・特許庁は2019年4月11日、今年度の「知財功労賞」を発表した。今回から「デザイン経営」の企業カテゴリーを新設して有識者会議で審査した結果、優秀企業として経済産業大臣表彰で良品計画、特許庁長官表彰でスノーピークを選んだ。
「知財功労賞」は、国内の知的財産権制度の発展などに貢献した個人や知的財産権制度を積極的に活用している企業を表彰する賞。1987年度から始まり、今回は33回目になる。2018年に「『デザイン経営』宣言」を発表した経済産業省・特許庁は、同宣言の中で「デザイン経営」を実行している企業を表彰したいと言及していた。
地方の省庁機関やデザインなどの関連団体に、デザイン経営を進めている企業を昨夏から推薦してもらい、その中から有識者会議が選んだ。評価の基準は、経営チームにデザイン責任者を配置しているか、経営の上流工程にデザインの視点を盛り込んでいるか、デザイン戦略に経営資源をどこまで投じているか、ブランド力やイノベーション力の向上につながっているか、など。これらについて「非常に優れている」「優れている」「普通」「評価外」と点数を付けた。
一方で、デザイン経営に関連した商標の出願や意匠権の取得といった知的財産をどこまで活用しているかも評価し、点数化している。デザインと知財の総合評価で表彰する企業を決めた。
良品計画が評価されたのは、経営層がデザインに関心が高く、外部のデザイン識者によるアドバイザリーボードを設置していること。企画やデザイン、開発までの全工程にデザイナーやマーチャンダイザー、品質管理責任者など一体となって参画し、同社のブランドである「無印良品」らしい商品かどうかを常に意識しながら活動している点も支持された。世界中で「無印良品」に関する商標出願や意匠権の取得も進め、知的財産戦略でも徹底している。
スノーピークも経営者がデザインを重視している他、開発担当者がユーザーとの交流によって新しい製品やサービスを作るプロセス、さらには人事制度も見直してクリエイターがデザインに集中できる環境を整備している点などがポイントになった。デザインと機能を兼ね備えた製品やサービスは、圧倒的なブランド力の向上につながっているため、ブランドの保護にも注力。コピー製品を開発・販売する海外企業にも厳正な態度で臨んでいるという。
これまでもデザイン経営の重要性は認識されていたが、基準が明確ではないため、あいまいな部分があった。しかし今回の表彰でモデルケースを示したことは、デザイン経営を推進しようとする多くの企業に弾みになるだろう。4月18日の「発明の日」に表彰式を開催する。
(写真提供/良品計画)