ハードウエアの“アップル縛り”は有効か?

 もう1つの定額制ゲーム配信「Apple Arcade」も、やはり明らかに5G時代を意識したサービスだと言える。発表会では開始時期について、「19年秋をめどに世界150以上の国々で」と発表された。その後、アップルのサイトに同サービスの日本語による紹介ページが立ち上がった。今秋には日本にも上陸することになりそうだ。

 発表会で、「オフラインプレイ可能」を明言していたのは朗報だ。後は勝ち抜くために、魅力的なコンテンツをひたすら追加していくだけ。ローンチ当初から、Apple Arcade独占タイトルが100以上そろうという。どのゲーム会社、どんなタイトルが提供されるのか、発表に注目したい。

Apple ArcadeのゲームコンテンツはiOS/macOS/tvOSで楽しめる
Apple ArcadeのゲームコンテンツはiOS/macOS/tvOSで楽しめる

 今後アップルがユーザーにとって魅力的な、「勝ち抜けるサービス」を提供するためには、対応環境をアップルのハードウエアに縛らないことが重要だろう。Apple Musicは現在iOSだけでなくAndroid OSのプラットフォーム上で楽しめるし、オープン化を促進する開発フレームワークである「MusicKit」も、18年にアップルが開催した開発者向けイベントWWDC 2018で発表された。特にゲームは、さまざまな端末上で遊べることが、コンソールに縛られるメーカーに対する、アップルの強みになるに違いない。

アップルのコンテンツ系サービスが共通して掲げる6つの方針を語るティム・クック最高経営責任者(CEO)
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 ハードウエアに“アップル縛り”をかけたままのサービス展開を貫くのであれば、端末価格を下げなければ普及は見込めないだろう。テレビは1万円を切る価格のアマゾン「Fire TV Stick」シリーズに対し、ハードウエアの「Apple TV」は後じんを拝している。サムスンやLG、ソニーのスマートテレビに「Apple TV app」を対応させる戦略も有効かもしれないが、ハードウエアとしてのApple TV価格をもう一度 100ドル以下にし、一気にプロモーションをかけたほうがインパクトを与えられる。もちろんiPhoneやiPadの廉価版が出てくれば一般ユーザーは歓迎するだろうが、各端末のプレミアムイメージを自ら損なうリスクもはらんでいる。

 毎年「秋」といえば、近年はアップルが新しいiPhoneやiOSのアップデートを発表・発売する季節だ。19年は新たなサービスで、大いに盛り上がるだろう。