バックネット裏スタンドに個室観覧席を新設し、ライト側スタンドのウィング席増築も完了。横浜スタジアムの「コミュニティボールパーク化構想」が、着々と進んでいる。港町ならではの景観と立地の良さを武器に他球場との違いを打ち出し、人々が集う「横浜の一大社交場」を目指す。
ラミレス監督も大満足のリッチな空間とおもてなし
横浜スタジアムと横浜DeNAベイスターズが2017年から進めている横浜スタジアム(ハマスタ)の大規模な増築・改修。ハマスタを「野球をきっかけとしたコミュニケーションを育む地域のランドマークにする」という、“コミュニティボールパーク化構想”の一環だ。19年3月15日にはスタジアムのバックネット裏3、4階の「個室観覧席」および屋上「テラス席」、そしてライト側スタンド4階の「ライトウィング席」、同3階の飲食エリア新設・増築工事が完了し、翌16日から営業が始まった。
コミュニティーを作るには、何といっても集客が大前提。横浜スタジアムは「量(収容人数)」と「質(空間・おもてなし)」の両面で、球場の魅力向上に努めている。新しいライトウィング席は約3500。より多くのベイスターズファンを収容できるようになった。最上部の立ち見席の高さは、地上31メートル。ビル街のすき間から、横浜の海がちらりと見える。スタンドは約30度となかなかの急勾配だが、「見晴らしがいい」「前に座っている人の頭が気にならない」(横浜DeNAベイスターズファンクラブ会員)と、評判は上々だ。
「NISSAN STAR SUITES(日産スタースイート)」と名付けられた個室観覧席は、「野球を観戦しながら極上の体験ができる場所」と、横浜スタジアムと横浜DeNAベイスターズの両社の社長を務める岡村信悟氏は胸を張る。
専用エントランスを抜けエレベーターで上階に達すると、ホテルのような空間が広がる。高級感のある個室(全30室)には、大型モニターが備え付けられる。バルコニーから試合を眺め、ひいきのチームが勝っていればテンションも最高潮だろう。おもてなしは万全で、横浜ベイシェラトンホテル&タワーズの専属スタッフがサービスを担当する。さらに同ホテルとスタジアムが共同開発したオリジナルメニューも楽しめる。利用料金は1試合当たり30万~50万円(税・飲食料別)と、まさにVIPのためのスペースといえる。
個室観覧席で会見した横浜DeNAベイスターズのアレックス・ラミレス監督は、「こういう場所なら子供がはしゃぎ回っても迷惑がかからない。家族や仲間同士で利用したいね」と話す。まさに“選ばれし家族”といったところか……。
個室観覧席の屋上にあるテラス席は、マンション10階程度の高さからスタジアム越しに、みなとみらいの建造物群が一望できるのがセールスポイント。新設されたライト側スタンド3階の飲食エリア「BAYSIDE ALLEY(ベイサイド・アレイ)」では、球団オリジナルメニューや、地元・神奈川に関わりの深い食事が楽しめる。