自走ロボットや自動運転車を利用したデリバリー方法が注目されている。2019年1月には、米アマゾンが自律走行するデリバリー・ロボットの「スカウト(Scout)」を発表。現在は、同社の地元であるワシントン州でテスト走行を行っている。
今まで発表されているデリバリー・ロボットには、さまざまな形状とサイズがある。アマゾンの他、先行する米キーウィー(Kiwi)の自走ロボットは、小型スーツケースくらいのサイズ。1件ずつの注文を、その都度こなすという想定だ。少量の急ぎの配達やレストランからのテークアウトといった用途に向けて開発している。これに対し、複数の注文を1回の走行で行う、より大きなロボットもある。こちらは日々の食料品の注文を配達しようともくろんだ。例えば米ニューロ(Nuro)は、スーパーマーケット・チェーンのクローガーと共同でテストを行っている。
トラックとロボットを組み合わせる
面白い利用方法もある。軽トラックや大型トラックに複数台の小型デリバリー・ロボットを載せて配送エリアの中継時点まで行き、そこからロボットが個々の顧客先に配達に向かうという2段構えの方法だ。キーウィーや、かなり早くからデリバリー・ロボットを発表していた米スターシップ・テクノロジーズが計画している。トラックによる効率的な輸送と、顧客先までの最後の距離であるラストマイル向けのデリバリーをうまく組み合わせようとした。
顧客からの注文品を届けるのではなく、店舗そのものを“デリバリー”しようという試みも始まる。米東海岸を中心に展開するスーパーマーケット・チェーンのストップ&ショップは、生鮮食品やミールキットを搭載した自動運転車による販売を計画している。顧客はネットで自動運転車を呼び出し、自宅前でちょっとした買い物ができるようにするという。19年春にも、ボストン地域でテストを開始する見込みだ。
デリバリー・ロボットの活用により、いろいろなアイデアとビジネスモデルが生まれている。だが、こうした風景をもうじき街で日常的に見かけるようになると期待するのは時期尚早だろう。現在、各社がテストしているのは、混み合った都市部ではなく郊外地域が多い。シリコンバレーに近いサンフランシスコ市では、安全性の面からデリバリー・ロボットに厳しい規制を設けたため、街中での現実的な運営は難しくなっている。その結果、これらのデリバリー・ロボットの最適な運用場所は現在のところ、大学や企業の構内といったエリアのようだ。
デリバリー・ロボットの登場によって、配送業務が大きく変わると期待されているが、小回りが利く人間による配達はまだまだ簡単にはなくならないようだ。