リニューアルではなく高付加価値商品として追加投入

 アリエールジェル プラチナスポーツは洗浄成分をこれまでのアリエールより強化し、消臭力も強くなった。星川氏は「通常のアリエールの高付加価値商品」と新製品の位置付けを説明する。モニター調査では、「普段の製品では余計なもののニオイが残っていたのでは、と気付いた」など、汗のニオイに対する効果を高く評価する声が多かった。

 同時に発売した「アリエールジェルボール3D プラチナスポーツ」は、特にくすみや黄ばみ、黒ずみなどの蓄積汚れに強いという。

 洗濯洗剤として必要な機能を進化させたにもかかわらず、刷新ではなく追加投入を選んだ。この点について星川氏は、「ほとんどの消費者は現在のアリエールで満足している。新製品はあくまで高付加価値商品。スポーツなど皮脂汚れのニオイを気にする人に向けて投入する」と、理由を説明する。2製品はターゲットが異なるため、ブランド内でパイの奪い合いにはならないと判断した。

 新製品は通常のアリエールより「価格が2~3割高くなる」(星川氏)。森氏によると、「家庭で洗濯洗剤を購入するのは主婦が多く、わずかの価格差にも敏感」なため、現状のアリエールの効果に満足しているユーザーが、価格上昇に反発するのを避けたい側面もあるという。

「汗のニオイが落ちた」と高い評価を得た
「汗のニオイが落ちた」と高い評価を得た

 新製品は詰め替え用の容器にも、洗剤を入れやすくする新技術を導入し、高付加価値を演出した。詰め替えパックの口に栓があり、本体の注ぎ口を押し込むと開栓する仕組みで、液ダレせずスムーズに詰め替えられるという。星川氏は「ここですよ」と詰め替え口を示しながら、「これによって洗剤の詰め替えという地味に面倒な作業の負荷を取り除いた」と胸を張る。これだけ便利なら他製品に転用してもよさそうなものだが、そこはプレミアム商品。この機構は今のところ「スポーツ」だけの専売特許だ。

洗剤を詰め替える際の面倒を省いたデザイン。詰め替えパックを逆さにして本体の注ぎ口にかぶせて押すと……
洗剤を詰め替える際の面倒を省いたデザイン。詰め替えパックを逆さにして本体の注ぎ口にかぶせて押すと……
注ぎ口の突起がパックの口を押し開けてこぼれることなく詰め替えられる
注ぎ口の突起がパックの口を押し開けてこぼれることなく詰め替えられる
開栓するまではキャップを外して逆さまにしても中の洗剤がこぼれない
開栓するまではキャップを外して逆さまにしても中の洗剤がこぼれない

 2000年に初めての液体洗剤で粉末洗剤の溶け残りを解消し、14年には洗濯洗剤で初めてのジェルボール型洗剤で革命的な利便性をもたらすなど、市場に変革を生み出してきたアリエール。19年春、初の「スポーツ用洗剤」でしつこいニオイに悩む人々の支持を得られるのか。くしくもライバル花王の大型新商品も、合成繊維の汚れに対する高い洗浄・消臭効果を掲げている。高機能化を競い合う洗濯洗剤の頂上決戦、軍配はどちらに上がるのか。次回は花王のリポートをお届けする。

(写真/酒井康治、写真提供/P&Gジャパン)