メルカリと三菱総合研究所は、フリーマーケットアプリの利用者1642人を対象にアンケートを実施。アプリ利用前後の行動心理・購買内容の変化を分析した。その結果、モノに対する価値観が「所有」から「一時利用」に変わることで、新しい消費行動「SAUSE」が見て取れるようになったという。
消費者は「売却」を意識して「新品を購入」する
メルカリと三菱総合研究所が実施した「シェアリングエコノミーに関する意識調査」から分かったのは、半数以上のフリマアプリ利用者が「新品の購入時にフリーマーケット(フリマ)での売却を念頭においてモノを選択する」ようになったこと。
シェアリングサービスについては、これまで個人の遊休資産を貸与・売買するというサービスの特性上、「節約」「新品購入頻度の減少」といったイメージがあった。しかし、アンケート結果からはむしろ購入頻度の増加、高価格帯への移行といった正反対の傾向が見受けられたという。同調査ではこの結果について、モノに対する消費心理が「所有」から「一時利用」に変わったことが原因だと分析している。
調査の結果から三菱総合研究所ではシェアリングサービス普及後の新しい消費行動を「Search(検索)」「Action(行動)」「Use(一時利用)」「Share(再販売)」「Evaluation(評価)」の頭文字を取って「SAUSE(ソース)」と定義した。
「SAUSE」のポイントは以下の3点だ。
- 1. 検索から始まる消費行動
スマートフォンの普及によって意思決定までのプロセス(認知・興味・関心)が一元化され、リアルタイムで情報収集(検索)に至る - 2. モノの「所有」から「一時利用」に変化
購入したモノを一時的に利用するものとして捉えることで、消費においてもその意識に影響された行動を取る - 3. モノの貸与・売却後に決まる評価
シェアリングによるモノの貸与・売却を通じて、「利用対価(購入価格から売却価格を差し引いた実質の支払額)」という観点でモノを評価する
購入頻度が増加した理由として上位に挙がった項目の1つに「フリマアプリでの売れ行きが良いから」がある。これは、「後で売却できる」という意識が、モノの購入に対する心理的ハードルを下げたと考えられる。また購入するモノが高価格帯に移行する傾向は、フリマアプリの利用率が高いと推定される20代、30代に強く表れているのが興味深い。
現状、「SAUSE」が定義した消費行動は、フリマアプリの利用者の一部に見られる傾向にすぎない。しかし、シェアリングサービスの普及に伴い、社会・経済全体に大きな影響を与えることが予想されている。企業のマーケティング活動においては、今後、消費者がシェアリングを通じて自社商品に接していることを考慮に入れたブランド戦略や販売戦略が重要となってくると考えられる。