2019年1月17日、イッセイ ミヤケの男性向けブランド「HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE(オム プリッセ イッセイ ミヤケ)」がパリでプレゼンテーションを開催した。会場に選んだのは、ポンピドゥー・センター。ギャラリーに入ると目の前に現れたのは、つり輪や渡り綱を配置したアリーナのような空間だ。
プレゼンテーションは、これまでのファッションショーとは一線を画すものだった。モデルたちは会場内を走り回り、つり輪にぶらさがり、さらに綱渡りまでしてみせる。「シワにならず、軽くて動きやすい着心地の新しい日常着」という同ブランドのコンセプトを、躍動感あふれるプレゼンテーションで伝えた。
同ブランドのパリでの発表は、13年にブランドがスタートしてから初めての試み。従来のファッションショーとは異なる、楽しめるプレゼンテーションを目指した。開催は突然の決定で、試行錯誤しながらも約2週間で作り上げたという。三宅一生氏の提案により、男性目線の新しい日常着の探求を進めてきた同ブランドの、パリでの挑戦につながった。
ブランドの新しい見せ方
今回のプレゼンテーションの演出と振り付けは、ダニエル・エズラロウ氏。13年に、三宅一生氏が企画した「青森大学男子新体操部」を手掛けた演出家でもある。HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKEは、この企画の衣装としてデビューをしている。プレゼンテーションのテーマは「PLAYGROUND」。遊びから仕事まで、あらゆる活動における創造の場で、HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKEが躍動する様子を表現したという。モデルも、いわゆるファッションモデルだけではなく、ダンサーや、スラックラインと呼ばれる綱渡りなどのパフォーマーで構成した。
プレゼンテーションを終えると、会場は盛大な拍手に包まれた。終演後は、モデルたちが観客席に近づいてきて、人々をPLAYGROUNDへと連れ出し、つり輪や綱渡りなどを共に楽しんだ。まさに本物の「プレイグラウンド」と化していた。
一般的なコレクションにあるような、1着ずつのスタイリングを見せるランウェーのショーとは大きく異なり、ブランドコンセプトを具現化したともいえる今回のプレゼンテーション。ファッションの新しい側面を見せつけてくれるものだった。今後もこのような試みを続けるかどうかは未定だそうだが、新しい展開に期待させる20分間となった。
(写真/Olivier Baco)