「あなたの実感として、おおむね5年前と比べて、少年による重大な事件が増えていると思いますか、減っていると思いますか」。この質問に対して、あなたはどう答えるだろうか。「思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る」ことがいかに難しいか分かる。

内閣府が2015年9月、「少年非行に関する世論調査」の結果を公表した。「あなたの実感として、おおむね5年前と比べて、少年による重大な事件が増えていると思いますか、減っていると思いますか」との問いに対し、「かなり増えている」「ある程度増えている」を合わせた「増えている」と感じる人が78.6%。10年の前回調査と比べて、3.0ポイント増加したという。
「ある程度増えている」が37.8%から36.3%へと微減だったのに対し、「かなり増えている」が37.8%から42.3%へ、5ポイント近く伸びるという内訳だった。属性別に見ると、男性よりも女性が、20~30代より40代以上が、増えていると感じる人が多くなっている。
「少年非行についてどのような社会環境が問題だと思うか」を複数回答で選ぶ設問では、「スマートフォンやインターネットなどの普及により、簡単に暴力や性、自殺その他少年に有害な情報を手に入れられる」が前回の47.3%から69.8%へ22ポイント超増加、「スマートフォンやインターネットなどの普及により、少年の交友関係や行動が把握しにくくなっている」が同38.9%から50.8%へ約12ポイント増加した。
スマホを非行の温床と考える向きは相当に多いようだ。さて実際のところ少年非行は増えているのだろうか。スマホの利用抑制やサービスの見直しで道は開けるのか?
実態は、若者の「犯罪離れ」
警察庁のまとめによると、17年に検挙された刑法犯少年の数は2万6797人で、前年より4719人、率にして15%減った。03年の14万4404人から14年連続で減少が続いていて、5分の1以下の規模に激減している。
このコンテンツは会員限定です。お申し込みをされますと続きをご覧いただけます。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー