九州を中心にディスカウントストアなどを展開するトライアルホールディングスは、店舗に設置するAI(人工知能)カメラを開発した。1000台規模の量産を完了し、実店舗に導入するための検証を始めた。自社の仕様に沿った製品を、大量かつ安価に入手する狙いがある。

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トライアルは福岡市の新店舗に700台のAIカメラを導入した
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 自社で設計した仕様に基づいて、中国・深圳の協力工場で2018年末に1000台規模で量産した。コストは現時点で1台1万円以上だが、大量導入するため早期に1万円以下を目指す。

 トライアルは18年2月、福岡市の新店舗に他社製のAIカメラ約700台を導入し、顧客の動きや棚の品物の売れ行きを把握する用途に活用し始めた。

トライアルが自社で開発したAIカメラ。実験店舗で試行を重ねている
トライアルが自社で開発したAIカメラ。実験店舗で試行を重ねている
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AIカメラを他社へも販売

 主として旧型のスマートフォンを転用していたが、全国の店舗に本格展開するため、小型化やコストが課題となっていた。そこでおよそ半年前にプロジェクトを立ち上げて、仕様の策定から量産までこぎ着けた。

 AIカメラの開発責任者は、トライアルの傘下にあるAI戦略会社のRetail AI(東京・港)の松下伸行取締役。同氏はソニーでスマホ搭載カメラを開発していた人物だ。

 「今の時代はソフトウエアだけでなくハードウエアもオープンになっており、小売業でも自社で開発できる時代となった。トライアルは中国にもITの開発拠点があるので、そこの中国人と一緒に、深圳のハードの高速サプライチェーンをフルに活用した結果だ」(松下取締役)。

Wi-Fiだけでなく有線LANでも接続できるように独自に仕様を策定した
Wi-Fiだけでなく有線LANでも接続できるように独自に仕様を策定した
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 新型のAIカメラはスマホと同様にAndroidをベースに開発しており、1300万画素のカメラを搭載する。Wi-Fiだけでなく有線LANにもつなげられる仕様で、店舗での活用に配慮している。この他、問題があったときに遠隔地からハードリセットと呼ぶ強制的な再起動ができる機能も備えた。

 トライアルは実験店舗での運用結果を見て、実店舗への展開を判断する。AIカメラについて他社から供給の依頼があれば、「量産効果が高まり、アプリの共有なども進むので積極的に販売していきたい」(松下取締役)としている。実店舗で蓄積したノウハウやアルゴリズムを詰め込んだ、AI活用のソフトやサービスの提供などもビジネスにしていく。