全米小売業協会(NRF)による総合展示会「NRF2019 RETAIL’S BIG SHOW」が米ニューヨークで2019年1月13日開幕した。約1万6000人の小売業を含む、合計約3万7000人の参加者が99カ国から集う、リテール分野で世界最大級のイベントだ。人工知能(AI)や機械学習を活用する動きが一般的になりつつあり、異業種・異分野での提携も加速。NRFが示す方向は日本にも大きな影響を与える。
NRFのクリス・バルドウイン会長はオープニングセッションに登壇し、「リテール業界は米国において、全体の4分の1の仕事に関わっている。ローカルとグローバルの両方の経済に重要な存在である」と切り出した。
「流通業はなくならない」
玩具販売のトイザラスやスーパーのシアーズなど米大手流通業の破綻が続く中、「流通業はなくならない。2016年からはGDPを超える成長を遂げている」と強調。そのうえで、リアル店舗を持つような既存のリテール業にとっても、モバイルを中心としたeコマースは脅威ではなく成長に向けた機会であると説明した。
リアルにも参入した米アマゾン・ドット・コムや、リテールの巨人米ウォルマートへの対抗で、業界内や異業種の提携が活発化している。
オープニングセッションの最後には大手スーパー米クローガーのロドニー・マクミューレンCEO(最高経営責任者)が登壇。大手ドラッグストアの米ウォルグリーンと提携して進める、クローガーのネット通販をウォルグリーンの店舗で受け取れるデリバリーサービスの実験を紹介した。ウォルグリーンのネット通販をクローガーの店舗で受け取ったり、ウォルグリーン内にクローガーの小型店舗を導入したりすることにも取り組んでいる。

マクミューレンCEOは、米マイクロソフトと店舗のスマート化で提携したことも説明した。アマゾンの“敵”同士が手を組んだ格好で、まずは個別の顧客を認識して、広告を出したり、商品を探しやすくしたりする。マイクロソフトのクラウドサービスのAI機能も活用していくとみられる。
なお、NRFのバルドウイン会長に続いて登壇予定だった、大手百貨店ノードストロームのジェミー・ノードストローム社長の講演はキャンセルとなった。1月に入って共同社長だったブレイク・ノードストローム氏が亡くなったためだ。
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