ウェブコンサルタント協会(東京・北)は2019年4月、小規模・零細企業のウェブ活用を支援する「ウェブアドバイザー」の育成に乗り出す。これまで主流だった検索エンジンマーケティングの効果が低迷しており、顧客視点に立った「ユーザーモデル分析」など新たな施策が求められていることが背景にある。

 「『国産 化粧水』などのキーワードで上位表示を実現し、トラフィックは2倍以上に伸びたが、売り上げは横ばいにとどまった」

 ウェブコンサルタント協会理事の権成俊氏(ゴンウェブコンサルティング 代表取締役)は、化粧品・日用品メーカーのネオナチュラル(名古屋市)のサイトリニューアルを例に挙げながら、検索エンジン頼りだった小規模・零細企業のウェブ活用に転機が来ていると指摘する。化粧品メーカーからオーガニックライフショップへ方向転換した同社は、18年7月にサイトの一部リニューアルを実施。「国産 化粧品」「国産 化粧水」「馬油」「ヘチマ水」などの検索結果で一時は1位も獲得したが、売り上げとはリンクしなかった。

ネオナチュラルのサイトのアクセス数(濃い青線)はリニューアルした2018年7月以降、約2倍に伸びたが収益(薄い青線)は横ばいにとどまった。
ネオナチュラルのサイトのアクセス数(濃い青線)はリニューアルした2018年7月以降、約2倍に伸びたが収益(薄い青線)は横ばいにとどまった。

トラフィックの価値が落ちた

 その一因が「スマートフォン経由のアクセスは、(パソコンと比べて)トラフィックの“価値”が大きく落ちている」(権氏)からだ。ネット利用はスマホにシフトしたが、コミュニケーションツールでもあるスマホでは、ユーザーはたくさんのアプリを切り替えながら使用する。化粧品の情報を調べていても、友人からメッセージが届けばすぐに離脱してしまう。また、情報検索のリテラシーが上がり、商品購入時には他のネットショップや実店舗と比較して検討することが一般的になった。

 検索エンジンから集客しても、スマホ経由では売り上げへの貢献、サイトの滞在時間や再訪問比率がパソコンより大きく低下している。そのため冒頭のような事態も起こり得るわけだ。ゴンウェブコンサルティングの顧客には、検索連動型広告の出稿を2週間ほど停止して、売り上げへの影響が出るかどうか見極めることを勧めているという。

スマホ時代に中小通販が生き残れる施策とは

 権氏は、「小さい企業こそ、対象を絞り込んで勝負できる。顧客や消費者を理解してコンテンツや商品を作るべきだ」と提言する。いわゆる3C分析(Customer=お客様、Competitor=競合、Company=自社)をベースに、新たなマーケティング施策の立案を勧める。

ウェブコンサルタント協会では3C分析に、「ベネフィット(お客さまが求める価値)」と「差別的優位点」という視点を加える
ウェブコンサルタント協会では3C分析に、「ベネフィット(お客さまが求める価値)」と「差別的優位点」という視点を加える
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 権氏が勧める顧客分析の一例としては「ユーザーモデル分析」がある。これは、サイトへ流入する検索キーワード、ランディングページの内容、商品レビューサイトに掲載されている商品の評価などから特徴的なキーワードを抽出し、ユーザーをキーワード別にグルーピングする。例えば、化粧品なら自社ブランドの指名買いなのか、安い商品を求めてきたのか、保湿性など品質を求めてきたのかといった具合だ。

 顧客になぜ選ばれたのかを理解し、それぞれのグループの購買状況から、購買金額が多いグループの購買をさらに促進するのか、それともサイトはよく利用するが購買金額が少ないグループの購買を促進するのかなどといった戦略を立てる。

女性在宅ワーカーの新たな働き方

 こうした新たな分析やマーケティング施策の実行を支援するため、ウェブコンサルタント協会は、「3Cファシリテーター」「ウェブアドバイザー」「ウェブコンサルタント」「イノベーションコンサルタント」を認定する資格制度を作り、セミナーやワークショップなどの教育プログラムも実施する。

 前述のユーザーモデル分析は、ウェブコンサルタントが習得するスキルの1つと位置付ける。ウェブアドバイザーはより敷居が低く、予算の限られた小規模・零細事業者を1カ月3万~5万円程度で支援する。「Google Analytics」などのツールを利用したウェブサイトの分析、SNS活用、米グーグルの検索や地図に情報を登録・管理する「Google マイビジネス」活用の支援役を担う。子育て中の女性在宅ワーカーが資格を取得することを想定している。同協会理事の村上佐央里氏は「女性の新しい働き方として、ウェブアドバイザーを広めたい」と話す。

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