意外に強くないホラーと夏の関係

 一方、弱点として思い付くのは「ホラー=夏」というイメージだろう。だが、コンテンツを見ていくと、ホラーと夏の関係がそれほど強くないことも見えてくる。

 ホラー映画は夏という印象が強いかもしれないが、大作映画が相次いで公開される夏休みを避け、秋から冬にかけて公開されるものが多い。先に例を挙げたクワイエット・プレイスは9月28日公開。昨年22億円の興収をあげ話題になった『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』は11月、ジャパニーズホラーとして有名な『リング』や『呪怨』は共に1月公開だ。ホラーゲームやホラー漫画も夏という季節にひも付いてはいない。

 ハロウィーンも夏以外のホラーコンテンツだ。毎年秋に大々的にイベントを行うUSJが最初にハロウィーンを手掛けたのは02年だが、11年に本格的なホラーを導入して以来、若い観客に支持され急成長。今では一年のうちで最もパークが盛り上がる時期となった。

 冒頭に紹介した血バサミ女の観覧車が11月に期間限定で復活したのも、「ホラーは夏のみではなく、どのシーズンでも楽しめるのではないかと考えた」(岩永氏)からだという。

 なのに今も「ホラー=夏」というイメージを持つ人が多いことについて、頓花社長は「お化け屋敷や怪談というフォーマットの印象が強いからではないか」と考える。「ホラービジネスを成長させるには、ハロウィーンのような、夏以外のフォーマットをどれだけ生み出されるかにかかっていると思います」

 「テレビ事業の弱点をカバー MBSが『ホラー』に投資したワケ」で記したように、MBSメディアホールディングスは11月、闇を子会社化した。メディア企業がスタートアップに投資する場合に多いコーポレートべンチャーキャピタル(CVC)ではなく、株式の8割取得し、荒井丈介氏を代表取締役として送り込んだ。

 荒井氏は頓花社長と共に15年からお化け屋敷を開催してきた関係だが、お化け屋敷だけにとどまるつもりはないという。2人が目指すのは「クライアント企業が抱える課題を、ホラーというアプローチで、怖くて楽しいソリューションを提案できる。そんな会社に育っていくこと」(荒井氏)。観覧車、求人サイト。闇が仕掛ける「恐怖のビジネス」は次にどんな場所で若者を狙うのか。

(写真/加藤康)