AI(人工知能)活用などで2025年に15兆円の新市場を生み出すと期待されるスポーツ市場。横浜DeNAベイスターズは、試合がない日でも、球場外で集客イベントを仕掛けるなどして、収益機会の拡大を目指している。
2018年シーズンにおける横浜DeNAベイスターズの観客動員数は203万人。ディーエヌエー(DeNA)がオーナーになった12年シーズン比で約1.8倍という高い成長を達成した。業績も、DeNA子会社になって5年目に黒字化しており、ベイスターズはプロ野球の経営改革のお手本となっている。
16年10月からベイスターズ社長を務める岡村信悟氏は、「野球チームは地域にとっての公共財。(スタジアムなどの)ハード面の施策、(ファンに、ほかにない体験価値を提供する)ソフト面の施策、そして(横浜市や神奈川県など)地域のアイデンティティーの象徴となることの3つを重視して経営してきた」と「Sport Innovation Summit Tokyo 2018」というイベントで語った。
球場の内外でコミュニティーをつくる
ベイスターズの本拠地は、横浜公園敷地内にある横浜スタジアムで、通称はハマスタ。同球団は、好きなチームの情報を四六時中チェックでき、試合を見るためにスタジアムに足を運ぶコアなファンだけでなく、そのファンの友人、家族、同僚といったライト層も気軽に足を運び、楽しんでもらえる「場」を作ることを目指している。
こうしたライト層を引きつけるには、オフシーズンも含めて季節ごとに決められたリズムでイベントを開催することが効果的だという。そこで、他球団も開催している開幕戦のオープニングセレモニーやファンフェスティバルなどに加えて、小学生向けのお仕事体験プログラムや朝のヨガイベントなど、他の球団とはひと味違う「かけがえのない一年を過ごしてもらう仕掛けを用意している」(岡村氏)。
地域の人たちに楽しんでもらう企画は、「球場外」か「球場内」かという軸と、「試合がない日(日常)」か「試合がある日(非日常)」かという軸とを組み合わせた、四象限で考えている。「球場内」かつ「試合がない日」の象限に属するのは、例えば球団OBが集まるレジェンドマッチ開催など。また、「球場外」かつ「試合がある日」の象限には、ヨガイベントなど野球観戦以外の体験イベントが属する。こうしたコンセプトでバランスよく、ユニークな企画を実施することで、試合の有る無し、球場の内と外とを問わず、ライトなファンとも常につながる場を作ろうとしている。
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